プログレスM-09M

プログレスM-09M

プログレスM-09Mは、ロシア連邦宇宙局によって運用された無人宇宙補給船です。国際宇宙ステーション（ISS）への重要な物資輸送を任務とし、2011年に打ち上げられました。アメリカ航空宇宙局（NASA）では、Progress 41あるいは41Pとも呼称されました。この機体はRKKエネルギアが製造したプログレス-Mの改良型である11F615A60型に分類され、製造シリアル番号は409番です。ISSには第26次長期滞在中に到着し、第27次長期滞在の期間中にステーションから離脱しました。

運用経過

プログレスM-09Mの打ち上げは、2011年1月28日協定世界時（UTC）1時31分39秒に行われました。カザフスタンのバイコヌール宇宙基地にある1/5発射台から、ソユーズ-Uロケットによって宇宙へと送り出されました。初期軌道は、近地点が193.5キロメートル、遠地点が254.6キロメートル、軌道傾斜角が51.65度の低軌道でした。

その後、プログレスM-09Mは軌道を徐々に上昇させ、ISSとのランデブーおよびドッキングに向けた精密な軌道制御が行われました。打ち上げから約2日後の2011年1月30日UTC2時39分、ISSに無事到着し、ロシアモジュールのピアースの下側（天底側）のポートにドッキングしました。

ISSでの補給任務を終えたプログレスM-09Mは、約3ヶ月間の滞在を経てステーションを離れることになりました。ドッキング解除は、2011年4月22日UTC11時41分にピアースポートから実行されました。

科学実験と最終処分

ISSを離脱したプログレスM-09Mは、そのまま直ちに処分されるのではなく、科学実験に活用されました。レーダープログレス科学実験と呼ばれるこの試験では、プログレス補給船が軌道離脱のために推進システムを噴射する際に発生するプラズマの、レーダーによる反射特徴を調査することが目的でした。

この科学実験が完了した後、プログレスM-09Mは地球の大気圏に再突入し、処分される段階へと進みました。軌道離脱のための噴射操作は2011年4月26日に行われ、協定世界時13時23分頃に南太平洋上にある「宇宙機の墓場」として知られる海域へ落下し、機体は大気圏通過中に燃え尽きるか、あるいは海没することで破壊されたとされています。

搭載された貨物

プログレスM-09MがISSへ輸送した貨物の合計質量は、2666キログラムに達しました。この貨物は、宇宙ステーションの維持・運用や搭乗員の生活に必要な多様な物資で構成されていました。

貨物の内訳は以下の通りです。

ドライカーゴ: 1444キログラム
酸素・水供給システムや熱制御システムの維持・修理に必要な部品類
ハードウェア制御機器やステーションの電気通信システムに関連する装置類
ISSで行われる各種科学実験のための物品（合計147キログラム）
ISS搭乗員のための食料、医療品、衛生用品
任務遂行に必要な書類や、搭乗員の個人的な物品（例えば、宇宙飛行士コンスタンチン・ツィオルコフスキーに関する書籍や、当時のISS司令官スコット・ケリーへの誕生日プレゼントなど）
燃料系: 752キログラム
プログレス自身がISSドッキング中に行う軌道修正や姿勢制御に使用するための燃料（250キログラム）
ISSの推進系燃料タンクへ補充するための燃料（502キログラム）
酸素: 50キログラム
* 水: 420キログラム

小型衛星ケドル

搭載された貨物の中には、ユニークなものとして「ケドル」と呼ばれる小型衛星が含まれていました。これはアマチュア無線用の衛星であり、ISSに到着後、2011年2月16日に実施された船外活動（EVA）の際に宇宙空間に放出されました。ケドル衛星は、RKKエネルギアによって運用され、「宇宙服衛星計画」の一部として位置づけられています。この衛星の放出は、人類初の宇宙飛行を達成したボストーク1号計画の50周年を記念するという意図も含まれていました。

プログレスM-09Mは、ISSへの重要な補給任務を成功裏に果たし、さらに科学実験にも貢献した後、その役目を終えました。

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