プログレスM-13M

プログレスM-13M

プログレスM-13M（ロシア語: Прогресс М-13М）は、ロシア連邦宇宙局が開発・運用した無人宇宙補給機です。国際宇宙ステーション（ISS）への定期的な物資輸送を目的としたプログレス補給船シリーズの一機で、NASAでは「Progress 45」または「45P」の名称でも知られています。この補給ミッションは、ISSに長期滞在するクルーのために、燃料、水、酸素、食料、そして維持に必要な機器、予備部品、科学実験用機材などを届ける重要な役割を担いました。機体の製造は、ロシアの宇宙開発を担うRKKエネルギア社が行いました。

打ち上げ

プログレスM-13Mは、2011年10月30日グリニッジ標準時（GMT）10時11分に、カザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地からソユーズ-Uロケットを使用して打ち上げられました。この打ち上げは、同年8月24日に発生したプログレスM-12Mの打ち上げ失敗以来、初めてソユーズブースターが完全に正常に機能した成功例として、特に注目されました。打ち上げ時のバイコヌールは摂氏4度でした。ロケットは予定通りの性能を発揮し、打ち上げから約9分後には、プログレスM-13Mを計画された初期軌道へと正確に投入しました。軌道到達後、機体は太陽電池アレイと誘導アンテナを問題なく展開し、ミッションの最初のステップを完了しました。初期軌道は、軌道傾斜角51.65度、近点高度約193km、遠点高度約253kmで、地球を一周するのに約88.66分を要する低軌道でした。

ISSへの飛行とドッキング

通常のプログレス補給船がISSへ2日間かけて到達するのに対し、プログレスM-13Mは珍しく3日間の飛行を経て、2011年11月2日GMT 11時41分にISSとのドッキングに成功しました。ドッキング先は、ISSのロシアモジュール「ピアース」（Pirs）の天底（地球側）ポートでした。このポートは、プログレスM-10Mが同年10月29日まで使用しており、M-13Mの到着に向けて解放されていました。

ISSに接近したプログレスM-13Mは、ドッキングポートとの向きを合わせるための精密な軌道制御を行いました。その後、ピアースのドッキング機構にある先端のプローブを正確に合わせるための回転操作を実施しました。最終的な近接操作に入る前には、一時的にISSから約190mの位置で待機し、モスクワのミッション管制センターからの最終指令の発出を待つ間、機体のシステムチェックが行われました。プログレスM-13Mに搭載された自動ドッキングシステムは完璧に作動し、プログレスとISSの接続は、軌道上の日没直前、中国北部上空約398kmで行われました。

ドッキング完了後数分以内に、両機を完全に固定するためのラッチと掛け金が作動しました。この出来事について、NASAの管制官は、ISSに最初の長期滞在クルーが到着してから11周年の記念すべき日に、現在の第29次長期滞在クルーと将来のクルーを支えるための物資が届いた、と述べました。ISSに滞在していた第29次長期滞在クルー、マイケル・E・フォッサム宇宙飛行士、古川聡宇宙飛行士、セルゲイ・アレクサンドロヴィチ・ヴォルコフ宇宙飛行士は、ドッキングが完了したその日のうちにプログレスのハッチを開け、内部に入ることができました。

ミッションの終了と廃棄

プログレスM-13Mは、合計82日間にわたりISSにドッキングした状態でその役目を果たしました。その後、2012年1月23日GMT 22時10分にピアースモジュールから分離されました。ISSからの離脱に先立ち、プログレスM-13Mは、ロシア宇宙科学研究所とレベデフ物理研究所が共同で製造した小型衛星「Chibis-M」を軌道上で放出するという特別なタスクを実行しました。ドッキング解除は、中国とロシアの国境上空約405km、軌道上の夜明けを迎える頃に行われました。

Chibis-M衛星の放出のため、プログレスM-13Mは2012年1月24日に2回の軌道変更操作を実施しました。最初の操作はGMT 2時35分に行われ、機体速度を約125km/h増加させました。2回目の操作はGMT 2時22分に行われ、約94km/hの速度増加をもたらしました。これにより、プログレスはISSよりも約94km高い軌道へと移動しました。この高度で、プログレスM-13Mは同年1月24日GMT 23時18分に、搭載していたChibis-M衛星を正常に放出したのです。

Chibis-M小型衛星は、質量約40kg（科学観測機器約12kgを含む）で、地球大気中の雷に伴って発生するガンマ線の研究を目的として設計されました。これまでの研究では、航空機の運航中に遭遇する雷雨が、超高出力のガンマ線、X線、電波パルスなどを伴う現象であることが発見されていました。

Chibis-Mの放出が成功裏に完了した後、プログレスM-13Mのミッションは最終段階へと進みました。機体を安全に廃棄するため、南太平洋の指定された海域への軌道離脱制動操作が2012年1月25日GMT 2時25分に開始され、3分56秒間にわたって実行されました。この操作により、プログ्रेसM-13Mは約450km/h減速され、地球大気圏に突入して燃え尽きる軌道に乗せられました。機体は大気圏上層部に同年1月25日GMT 3時4分頃に突入し、同3時11分頃にはそのほとんどが破壊されたと推測されています。大気を通過して燃え尽きずに残ったわずかな破片は、同年1月25日UTC 3時17分頃（GMT 3時17分頃に相当）に、南太平洋上の、航行や漁業などに影響のない無害な海域に着水しました。2011年10月30日の打ち上げから始まったプログレスM-13Mの全運用行程は、合計で86日と17時間に及び、太平洋への制御落下をもって完了しました。

搭載された物資

プログレスM-13Mは、合計約2.9トンに及ぶ多様な補給物資をISSへ運びました。その内訳は以下の通りです。

推進剤: 750 kg
酸素: 50 kg
水: 420 kg
ドライカーゴ（食料、維持機器、予備部品、実験用機材など）: 1410 kg

これらの合計積荷重量は2648kgと記録されています。特筆すべき点として、ロシア人宇宙飛行士のための個人用品の中に、当時としては比較的新しかったiPadが含まれていたことが挙げられます。

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