プログレスM-28M

プログレス M-28Mは、ロシア連邦宇宙局（Roscosmos）が運用した国際宇宙ステーション（ISS）向けの無人宇宙補給船です。2015年に打ち上げられたこの補給船は、ISSへの重要な物資輸送ミッションを遂行しました。NASAやJAXAでは、便宜上「プログレス60」あるいは「60P」とも呼ばれています。

このプログレスM-28Mミッションは、直前のISS関連の補給ミッションが相次いで失敗した後に実施されました。2015年4月にはロシアのプログレスM-27M補給船が打ち上げ直後に制御不能となりミッションに失敗、さらに6月にはアメリカのスペースX社によるCRS-7補給船も打ち上げ中に爆発事故を起こしていました。これらの連続した失敗により、ISSへの補給計画は遅延していました。

プログレスM-28Mは、プログレス-M改良型（シリーズ記号11F615A60）としては28機目の機体にあたり、シリアル番号428として製造されました。補給が滞っていた状況下での打ち上げは、ISSの維持とクルーの生活にとって極めて重要な意味を持っていました。

打ち上げは、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地から、協定世界時（UTC）で2015年7月3日4時55分（日本時間では同日13時55分）に行われました。使用されたロケットは、信頼性の高いソユーズ-Uでした。打ち上げから約2日間の飛行を経て、プログレスM-28MはISSとのランデブー軌道に到達。

協定世界時2015年7月5日7時11分（日本時間16時11分）に、ISSのロシア側モジュールであるピアースに自動ドッキングを成功させました。前述の補給船の失敗により、ISSに新たな物資が届けられるのは実に3ヶ月ぶりのことでした。この到着は、ISSに滞在する第44次長期滞在クルーにとって大きな喜びとなりました。当時のISS司令官であったロシアのゲンナジー・パダルカ宇宙飛行士は、この到着を「まるで7月にクリスマスがやってきたみたいだ」と表現し、物資の到着を心待ちにしていた状況を物語ります。

ドッキング成功後、プログレスM-28M内部に搭載されていた物資や補給品はISS船内へと運び出されました。ISSで発生した不用品や廃棄物は、代わりにプログレス補給船の空きスペースに詰め込まれました。これにより、これらの不用品はプログレス補給船と共に処分されることになります。

プログレスM-28Mは、計画通り約4ヶ月間にわたりISSにドッキングした状態で運用されました。その後、補給任務を終えたプログレスM-28Mは、協定世界時2015年12月19日7時35分（日本時間16時35分）にISSのピアースモジュールからドッキングを解除してステーションを離脱しました。

搭載されていた貨物と補給品の総量は2381kgに及びました。その内訳は以下の通りです。

燃料：520kg
酸素混合気体：48kg
水：420kg
第44次長期滞在クルー向けの予備部品、食料、衣類、実験機材など：1393kg

これらの物資は、ISSの軌道維持に必要な燃料、クルーの生命維持に必要な空気や水、そして日々の生活や科学実験、ステーションのメンテナンスに不可欠な多岐にわたる品々でした。プログレスM-28Mの成功は、相次ぐ失敗で停滞していたISSへの重要なライフラインを回復させ、その後のISSの安定運用に貢献する重要なミッションでした。

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