プログレスM-50

プログレスM-50

プログレスM-50（Progress M-50）は、国際宇宙ステーション（ISS）への物資補給を任務としたロシア連邦宇宙局（Roscosmos）のプログレス補給船の一機です。ソビエト連邦で開発されたプログレス補給船の改良型であるプログレスMシリーズに属し、具体的にはバージョンProgress-M 11F615A55として製造されました。シリアル番号は350が付与されています。この補給船は、アメリカ航空宇宙局（NASA）からは「プログレス15」（略称: 15P）と呼称されました。

飛行記録

プログレスM-50のミッションは、2004年8月11日5時03分07秒（グリニッジ標準時、以下同）に開始されました。中央アジアのカザフスタンにあるバイコヌール宇宙基地の1番射点（Site 1/5）から、実績のあるソユーズ-Uロケットに搭載されて宇宙へと打ち上げられました。

打ち上げから約3日後の8月14日5時1分8秒、プログレスM-50はISSのロシア側モジュールである「ズヴェズダ」に無事ドッキングしました。この接続により、ISSに滞在する宇宙飛行士のために、推進薬、食料、飲料水、呼吸用の酸素といった生命維持に不可欠な生活必需品に加え、各種の科学研究に必要な機器や実験材料など、合計で2,542kgもの重要な物資がISSに運び込まれました。

JAXAの高品質タンパク質結晶生成実験

このプログレスM-50が運んだ貨物の中には、日本の宇宙航空研究開発機構（JAXA）が進める「高品質タンパク質結晶生成プロジェクト」で用いられるタンパク質試料が含まれていました。これは、宇宙の微小重力環境を利用して、地上では難しい高品質なタンパク質結晶を作成し、生命科学や創薬研究に貢献することを目指す重要な実験の一部でした。プログレス補給船は、このような各国の宇宙機関が進める科学実験のための貴重な機会も提供しています。

ミッションの終了

ISSでの約4か月に及ぶ滞在期間中、プログレスM-50はISSの姿勢制御などに使用されました。その役割を終えたプログレスM-50は、次にISSへ到着するプログレス補給船、プログレスM-51がドッキングするためのポートを空けるため、2004年12月22日19時37分02秒にズヴェズダモジュールからドッキングを解除しました。

ドッキング解除から間もない同日22時32分06秒、プログレスM-50は制御された軌道離脱を開始しました。これは、不要になった宇宙機を安全に処分するために行われる手順です。機体は設計通り、太平洋上空で大気圏に再突入し、その際に生じる断熱圧縮と空力加熱により大部分が燃え尽きました。ミッション終了時刻である23時23分38秒頃には、燃え尽きずに残ったわずかな機体の残骸が、広大な太平洋の予定された海域に落下しました。これにより、プログレスM-50のミッションは完全に終了しました。

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