プログレスM-53

プログレスM-53

プログレスM-53とは、2005年にロシア連邦宇宙局によって運用された国際宇宙ステーション（ISS）向けの無人宇宙補給船です。NASAでは慣習的に「Progress 18」あるいは「18P」という名称でも知られています。この機体はプログレス-M型補給船（型式コード11F615A55）として製造され、シリアル番号は353番が付与されていました。その主な任務は、ISSに滞在する宇宙飛行士や科学ミッションのために、必要不可欠な物資を軌道上の基地へ送り届けることでした。

運用の詳細

プログレスM-53は、2005年6月16日、協定世界時（GMT）で23時9分34秒に、中央アジアにあるバイコヌール宇宙基地の1番発射台から、信頼性の高いソユーズ-Uロケットに搭載されて宇宙へ旅立ちました。順調に地球周回軌道に乗った後、ISSへのランデブー飛行を開始しました。

打ち上げから約3日後の2005年6月19日0時41分31秒（GMT）、プログレスM-53はISSの「ズヴェズダ」モジュールの後方（Aft）ポートへのドッキングを試みました。しかし、このドッキングプロセス中に予期せぬ事態が発生しました。地上からの管制システムの1つが電源障害に見舞われ、自動ドッキングシステムの運用に支障が出たのです。この困難な状況を乗り越えるため、ISSに滞在していた第11次長期滞在クルーのコマンダーであったセルゲイ・クリカレフ宇宙飛行士が対応にあたりました。彼はバックアップ用の手動ドッキングシステムである「TORU（テレオペレーター・モード）」システムを用いて、プログレスM-53を遠隔操作し、見事にISSへの安全な結合を成功させました。これは、宇宙での不測の事態に対する人間の介入能力の重要性を示す事例となりました。

プログレスM-53はその後、約3ヶ月間にわたりISSに結合したまま、補給船としての役割を果たしました。その間、ISSの軌道修正などに使用される推進剤の移送なども行われました。

新しい補給船であるプログレスM-54の到着準備が整ったことから、プログレスM-53は任務を終えることになりました。2005年9月7日の10時25分57秒（GMT）に、ISSから無事ドッキングを解除しました。その後、地球への帰還経路へと誘導され、同日の13時26分0秒（GMT）に軌道から離脱するための噴射を行いました。大気圏に再突入したプログレスM-53は、その大部分が燃え尽きましたが、燃え残った機体の一部は、同日の14時12分40秒（GMT）頃に太平洋上の予定された海域に落下したと記録されています。

搭載された貨物

プログレスM-53は、ISSに滞在する第11次長期滞在クルーを支援するために、様々な種類の重要な物資を搭載していました。具体的には、宇宙での生活に欠かせない食料、飲料水、呼吸用の酸素ガスなどが積み込まれていました。さらに、ISSで行われる多岐にわたる科学実験に必要な装置や消耗品なども運ばれました。これらの物資は、宇宙飛行士の健康維持、日々の活動、そして宇宙科学研究の継続にとって不可欠なものでした。

関連事項

• - 2005年の宇宙飛行
• - 国際宇宙ステーションへの無人宇宙飛行の一覧

もう一度検索