セルゲイ・クリカレフ

セルゲイ・クリカレフ：宇宙滞在記録を打ち立てた不屈の飛行士

セルゲイ・クリカレフ（Sergei Konstantinovich Krikalyov）は、1958年8月27日、ロシア（旧ソ連）のレニングラード（現サンクトペテルブルク）に生まれました。彼は宇宙飛行士、技術者として、人類の宇宙開発に多大な貢献をした人物です。特に、長期間にわたる宇宙滞在時間の記録保持者として知られています。

生い立ちと教育

クリカレフは幼い頃から、水泳、スキー、サイクリング、曲芸飛行、アマチュア無線など、多様な趣味を持っていました。1975年に高校を卒業後、レニングラード工科大学（現在のバルト工科大学）に進学し、1981年に機械工学の学位を取得しました。

エネルギアでの活躍

大学卒業後、クリカレフはS.P.コロリョフ ロケット&スペース コーポレーション エネルギアに就職します。ここでは、宇宙飛行装置の試験、宇宙での操作手法の開発、地上管制業務などに従事しました。1985年には、サリュート7号の宇宙ステーション計画が失敗した際、救出ミッションのチームに加わり、制御を失ったステーションとのドッキング、ステーションシステムの修復手順開発に貢献しました。

ミールでの長期滞在

1985年、クリカレフは宇宙飛行士に選ばれ、1986年に基礎訓練を終えると、ブラン計画に参加。1988年には初のミール長期滞在に向けて訓練を開始しました。同年11月26日、ソユーズTM-7でミールへ出発。フライトエンジニアとして、様々な実験やモジュールの取り付け、宇宙遊泳などを行いました。

1991年、クリカレフはソユーズTM-12に搭乗し再びミールへ。しかし、この頃ソ連国内は政治的混乱の最中にあり、クリカレフが地球に帰還する頃には、ソビエト連邦は崩壊していました。彼はしばしば「最後のソビエト連邦国民」と呼ばれます。

スペースシャトルでのミッション

1992年10月、NASAは経験豊富なロシア人宇宙飛行士が将来のスペースシャトルに搭乗することを発表。クリカレフは候補の一人として選ばれ、STS-60ミッションに参加します。1994年2月3日に打ち上げられたSTS-60は、アメリカとロシアの初の合同スペースシャトルミッションとなりました。

国際宇宙ステーション(ISS)への貢献

クリカレフは、国際宇宙ステーション（ISS）の建設と運用にも深く関わりました。2000年には第1次長期滞在の乗組員としてISSに滞在。2005年には第11次長期滞在で機長を務めました。

第11次長期滞在中の2005年8月16日には、セルゲイ・アウデエフが持っていた748日という記録を更新し、宇宙総滞在時間の世界記録を樹立しました。

引退後も宇宙開発に貢献

2007年2月15日、クリカレフはS.P.コロリョフ ロケット&スペース コーポレーション エネルギアの副社長に就任し、有人飛行部門の責任者となりました。また、2014年ソチオリンピックの開会式では、ロシア国旗を掲げる宇宙飛行士の一人として選ばれました。

受賞と栄誉

クリカレフは、ソ連邦英雄、レーニン勲章、レジオンドヌール勲章、ロシア連邦英雄など、数々の賞を受章しています。また、1994年と1998年にはNASA宇宙飛行メダルも受章しています。2007年5月23日には、サンクトペテルブルクの名誉市民となりました。

セルゲイ・クリカレフは、その卓越した技術力と不屈の精神で、宇宙開発の歴史に名を刻んだ偉大な人物です。彼の功績は、これからも世界中の人々に感動と希望を与え続けるでしょう。

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