プログレスM-6

プログレスM-6は、旧ソビエト連邦が1991年に運用を開始した無人宇宙補給船でした。当時の主力宇宙ステーションであった「ミール」に対し、不可欠な物資を供給することを主要な任務としていました。ミール計画全体を通してミールを訪れたプログレス補給船は総計64機に及びますが、その中でプログレスM-6は24番目に位置づけられます。この機体は、プログレス補給船の改良型であるプログレス-M型（正式な型式名称は11F615A55）であり、個別のシリアル番号は205番が付与されていました。プログレスM-6の打ち上げは、ミール宇宙ステーションへの継続的な支援体制を維持するために計画されました。

プログレスM-6に託された貨物は多岐にわたっていました。主に、ミールに長期滞在していた第8次長期滞在クルー（ミールEO-8クルー）の生活を支えるための物資が中心でした。具体的には、日々の生存に欠かせない食料品、飲料水、そしてステーション内の空気を維持するための酸素などが含まれていました。さらに、宇宙空間での様々な科学実験を実施するために必要な装置類や消耗品も搭載されていました。また、宇宙ステーションの軌道を維持・修正したり、姿勢制御などのマニューバを実行したりするために不可欠な燃料も、重要な貨物として積載されていました。これらの物資は、ミールにおける宇宙飛行士の活動とステーション自身の運用を継続するために極めて重要でした。

プログレスM-6の宇宙への旅立ちは、1991年1月14日のグリニッジ標準時（GMT）午後2時50分27秒に実行されました。打ち上げ場所は、現在のカザフスタン共和国に位置するバイコヌール宇宙基地の1番発射台（ガガーリン発射台としても知られる）の5番複合施設からでした。推進には、信頼性の高いソユーズ-U2ロケットが使用されました。ロケットは順調に飛行し、プログレスM-6を地球周回軌道に乗せることに成功しました。

打ち上げからおよそ2日間の追跡を経て、プログレスM-6はミール宇宙ステーションとのランデブー軌道に入りました。そして、1991年1月16日のGMT午後4時35分25秒、ミール宇宙ステーションのクバント1モジュールに備えられたアフト（後方）ドッキングポートへの結合を無事完了させました。これにより、プログレスM-6はミールの一部となり、搭載された補給物資の移送や、ステーションへの燃料供給作業が開始されました。ドッキングは完全に自動で行われました。

プログレスM-6は、ミールとのドッキング状態を合計で58日間にわたり維持しました。このドッキング期間中、ミール宇宙ステーションは地球の上空、およそ358キロメートルから388キロメートルの範囲の平均高度を周回していました。その軌道傾斜角は約51.6度であり、これはソビエト連邦（後のロシア）から打ち上げられる宇宙機にとって一般的な軌道でした。プログレスM-6は、この間、ミールに対して必要な補給を行うだけでなく、その姿勢や軌道を安定させるための制御にも貢献したと考えられます。

ミッションが計画通りに進み、搭載された全ての補給物資がミールへと移送され終えた後、プログレスM-6は次の段階へと移行しました。1991年3月15日、GMT午後0時46分41秒に、プログレスM-6はミール宇宙ステーションから無事に分離しました。分離後、プログレスM-6は制御された方法で軌道離脱マニューバを実行しました。同日のGMT午後5時14分0秒頃、プログレスM-6は地球周回軌道から離脱するコースに乗りました。

役目を終えたプログレスM-6の最後の段階は、地球大気圏への再突入と燃焼処分でした。軌道を離脱したプログレスM-6は、太平洋上の事前に定められた安全な海域を目指して降下しました。そして、GMT午後6時7分26秒頃、地球の大気圏に突入しました。大気との断熱圧縮による激しい加熱により、機体の大部分は燃え尽きて分解されました。プログレス補給船は使い捨ての輸送船であり、ミッション完了後に大気圏で燃焼処分されることが標準的な運用手順でした。プログレスM-6もその例外ではなく、安全かつ確実に役目を終えました。

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