プログレスM1-2

プログレスM1-2

プログレスM1-2は、2000年にロシア連邦宇宙局（当時）によって運用されたプログレス補給船の一つであり、その主な任務は、運用終盤にあった宇宙ステーション「ミール」への重要な物資輸送を遂行することでした。このミッションは、いくつかの点で特筆すべき意義を持っています。

機体概要

本機はプログレス-M1という改良型の補給船であり、製造時のシリアル番号は252番が付与されていました。プログレス-M1型は、従来のプログレス-M型に比べて搭載能力などが向上しており、ミールへの効率的な補給を可能とする設計がなされていました。

打ち上げ

プログレスM1-2の宇宙への旅は、カザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の第1/第5発射台から開始されました。2000年4月25日、グリニッジ標準時（GMT）の20時8分2秒に、信頼性の高いソユーズ-Uロケットに搭載されて打ち上げられました。ロケットは順調に飛行し、プログレスM1-2を所定の軌道へと投入することに成功しました。

ミールとの結合と運用

軌道投入後、プログレスM1-2は宇宙ステーション「ミール」へのランデブー軌道に乗りました。打ち上げから約2日後の2000年4月27日、グリニッジ標準時21時28分47秒に、ミールのクバント1モジュールに設置されていた後部（Aft）ポートへの自動ドッキングを成功させました。この結合は長期にわたり、実に171日間にわたってミールとプログレスM1-2は一体となって軌道を周回しました。補給任務を終え、次のプログレス補給船（プログレスM-43）がミールにドッキングするためのポートを空けるため、同年10月15日グリニッジ標準時18時6分に、ミールからのドッキング解除が実行されました。

積載物資

プログレスM1-2には、ミールの搭乗員が生存し、科学活動を継続するために不可欠な様々な種類の物資が積載されていました。これには、乗組員のための食料品や飲料水、生命維持に必要な酸素ガスなどが含まれていました。また、軌道上での科学研究活動を支援するための各種装置類や実験機材なども搭載されていました。これらの物資は、長期滞在する宇宙飛行士たちの生活と仕事を支える上で極めて重要な役割を果たしました。

特筆すべき点

このプログレスM1-2によるミッションには、歴史的に見て二つの重要な特記事項があります。一つは、世界で初めて完全に民間からの資金によって実現した宇宙ステーションへの補給計画であったという点です。この資金は、「ミールコープ計画」の一部として、ロシアの宇宙開発企業であるRKKエネルギアによって調達されました。これは、宇宙開発における民間資金の活用という新しい時代の到来を示す出来事でした。もう一つは、ミールに宇宙飛行士が滞在している有人期間中に、最後にドッキングしたプログレス補給船となったという点です。プログレスM1-2のドッキング解除後、ミールは無人期間を経て、最終的に軌道を離脱することになります。したがって、この飛行は、有人運用中のミールへの最後の補給任務の一つを担ったことになります。

任務の終了

ミールからのドッキング解除と同日中、プログレスM1-2は軌道を離脱する最終段階へと移行しました。そして、2000年10月15日グリニッジ標準時23時29分頃、地球の大気圏へと再突入しました。機体は、計画通り太平洋上の指定された海域上空で大気との摩擦熱によって燃え尽き、その任務を完全に終えました。これにより、有害な残骸が地上に落下することなく、安全な方法で廃棄されました。

プログレスM1-2のミッションは、ミール宇宙ステーションの歴史の最終章において、その運用を支える重要な役割を果たしただけでなく、宇宙開発の新しい側面（民間資金）を示す先駆的な事例ともなりました。この機体は、有人宇宙活動への貢献と、宇宙輸送技術の確実な実行能力を象徴する存在です。

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