プログレスMS-06

プログレスMS-06とは

プログレスMS-06は、ロシア連邦宇宙局であるロスコスモスが開発・運用した無人宇宙補給船です。その主たる目的は、地球低軌道を周回する国際宇宙ステーション（ISS）への定期的な物資輸送任務を遂行することにありました。この補給船は、プログレス補給船シリーズの中でも比較的新しい改良型であるプログレスMS型の6番目のフライトにあたる機体です。ISS計画に協力する各国の宇宙機関からは、固有の名称や番号が付与されることがあり、アメリカ航空宇宙局（NASA）および宇宙航空研究開発機構（JAXA）では、本機をプログレス67、あるいは略号で67Pと呼称しています。これは、ISSへの補給ミッションにおける通算回数に基づいて割り当てられた番号です。プログレス補給船は、燃料、水、酸素、食料、実験機器、日用品など、宇宙飛行士の生活や宇宙での研究活動を維持するために不可欠な多様な物資を届け、使用済みの廃棄物を地球へ持ち帰る（大気圏突入時に焼却）役割を担っており、ISSの運用において生命線ともいえる重要な存在です。

打ち上げ

プログレスMS-06は、2017年6月14日、協定世界時（UTC）の午前9時20分13秒に、カザフスタン共和国に位置するバイコヌール宇宙基地から宇宙へと打ち上げられました。この打ち上げに使用されたのは、ロシアの主力ロケットであるソユーズロケットファミリーの改良型、ソユーズ-2.1aロケットです。本ミッションの特筆すべき点の一つは、プログレス補給船の打ち上げロケットがこのフライトから変更されたことです。それまで長年にわたりプログレス補給船の輸送を担ってきた信頼性の高いソユーズUロケットに代わり、より近代化され、性能が向上したソユーズ-2.1aロケットが初めてプログレスMS型の打ち上げに用いられました。ソユーズ-2.1aは、デジタル制御システムや改良されたエンジンを備えており、打ち上げの精度や信頼性の向上が期待されていました。このロケットの切り替えは、ロシアの宇宙輸送能力における重要な進歩を示すものでした。

ISSへのドッキング

国際宇宙ステーションへのドッキング計画は、当初予定されていた軌道上の構成変更計画の影響を受け、若干の調整が必要となりました。元々の計画では、プログレスMS-06はISSのロシア区画にあるピアースモジュールにドッキングした後、将来的に打ち上げられる予定だった新しい多目的実験モジュール「ナウカ」（Nauka）がピアースの代わりに設置される際に、そのための準備や入替作業に関連する役割を担う可能性がありました。しかし、「ナウカ」モジュールの開発および打ち上げ計画に遅延が発生したため、プログレスMS-06がピアースモジュールにドッキングし、ナウカとの入れ替えに関連する任務を行うという計画は実行されなくなりました。「ナウカ」のドッキングミッションは、後のプログレスMS-09フライトへと延期されることになりました。このような状況の変化に対応するため、プログレスMS-06は、打ち上げ後、約2日間の軌道上でのランデヴー飛行を行った後、2017年6月16日、協定世界時11時37分に、ISSのロシア区画の中心モジュールであるズヴェズダ（Zvezda）モジュールの機尾側ポートへ無事自動ドッキングを完了しました。これは、ISSにとって不可欠な補給経路を維持するための、計画変更への柔軟な対応を示す事例となりました。

輸送物資

プログレスMS-06ミッションでは、国際宇宙ステーションに滞在する長期滞在クルーの生活と研究活動を支えるため、合計で2,450キログラムに及ぶ多種多様な補給物資が輸送されました。これらの貨物には、ISSの軌道維持や姿勢制御を行うために使用される重要な推進剤が705キログラム、宇宙飛行士が呼吸し、船内の環境を維持するための清浄な酸素および空気が合わせて50キログラム含まれていました。また、飲料用や衛生用途に使用される水が420キログラム運ばれました。これらの主要な物資の他に、宇宙飛行士の食料品、衣服、個人的な物品、科学実験に使用される機器や消耗品、宇宙ステーションの運用に必要なスペアパーツやツールなど、多岐にわたる日用品も搭載されていました。これらの補給は、宇宙空間という閉鎖環境で長期間にわたり活動する宇宙飛行士にとって、安全かつ快適な生活を維持し、科学的ミッションを継続するために極めて重要な役割を果たしました。プログレス補給船による定期的な物資供給は、ISSという人類の宇宙における恒久的拠点を維持するために不可欠な要素です。

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