プログレスMS-24

プログレスMS-24（ロシア語: Прогресс МC-24）は、ロシア連邦宇宙庁（ロスコスモス）によって開発・運用される、国際宇宙ステーション（ISS）へ向けた無人宇宙補給船です。製造番号454にあたり、アメリカ航空宇宙局（NASA）では「プログレス85P」とも呼称されています。この宇宙船は、プログレスシリーズ全体としては177機目の飛行任務にあたります。

本船の主要な役割は、ISS滞在中の宇宙飛行士が必要とする水、食料、酸素、窒素といった消耗品や、科学実験に用いる機材、 ایستگاه（ステーション）の維持に必要な部品などを輸送することです。物資を届けた後、プログレスMS-24はISSで発生した使用済み機器やゴミといった廃棄物を搭載し、任務の最後に大気圏へ突入して焼却処分される計画です。ISSとのドッキングはおよそ半年間継続される予定となっています。

プログレスMSシリーズの進化

プログレスMS型は、先行するプログレスM型をベースに、航法システムや通信機能、安全性が大幅に強化された無人輸送機の改良型です。この改良型は2015年12月21日に初めて宇宙へ打ち上げられました。プログレスMSシリーズでは、以下のような重要な機能向上や変更が施されています。

小型衛星放出能力: 新たに外部に設けられたコンパートメントは、最大4個のコンテナを搭載でき、軌道上で小型衛星などを展開する能力を備えています。この機能はプログレスMS-03で初めて実証されました。
冗長性の向上: ドッキング機構や密閉機構に使用されている電動モーターシステムに予備系統が追加され、信頼性が強化されました。
微小隕石・宇宙ゴミからの保護: 貨物コンパートメントの外壁に追加のパネルが設置され、微小隕石や宇宙ゴミからの防御能力が高められています。
長距離通信能力: ロシアのルーチ中継衛星システムとの連携機能により、地上管制局の直接通信範囲外にある宙域でも、機体の状態監視（テレメトリー）や遠隔操作が可能となりました。
自律航法能力: GNSS（全球測位衛星システム）を利用した自律航法により、地上局からの指示を待つことなく、自身の正確な位置や軌道パラメーターを決定する能力を獲得しました。
リアルタイム相対航法: ISSとの間で直接無線通信を行い、リアルタイムでの相対的な位置関係を正確に把握する機能が追加されました。
新しいデジタル無線システム: ドッキング操作を支援するためのテレビカメラ映像送信などに用いられる無線通信システムがデジタル化され、視認性が向上しました。
システム機器の更新: 統合コマンドテレメトリーシステム（UCTS）が導入され、従来のウクライナ製Chezara Kvant-V無線システムやアンテナ関連機器が置き換えられました。
ドッキングシステムの近代化: 自動ドッキングシステムについても、従来のクルスAアナログシステムから、より高機能なデジタル式のクルスNAシステムへと変更されています。

これらの改良により、プログレスMSシリーズはより安全で効率的なISSへの補給任務遂行を可能にしています。

打ち上げとISSへのドッキング

プログレスMS-24は、2023年8月23日にカザフスタン共和国にあるバイコヌール宇宙基地の31番射点から、ロシアの主力ロケットであるソユーズ2.1aに搭載されて宇宙へと打ち上げられました。打ち上げは計画通りに進み、ロケットから分離された本船は、ISSへと向かう軌道に乗りました。

打ち上げからおよそ2日後の2023年8月25日、プログレスMS-24はISSのロシア区画の一部である「ズヴェズダ」サービスモジュールへ自動ドッキング操作を行い、無事結合に成功しました。本船は、このドッキング後、ISSでの第70次長期滞在を物資補給という側面から支援する重要な役割を担いました。

搭載貨物

プログレスMS-24がISSへ届けた物資の総重量は約2,500 kg (およそ5,500ポンド) です。その主な内訳は以下の通りです。

非与圧貨物: 宇宙飛行士向けの食料、衣類、衛生用品、ISS維持に必要な部品、実験機器など 1,535 kg (約3,384ポンド)
推進剤（燃料）: ISSの軌道維持や姿勢制御に使用される燃料 500 kg (約1,100ポンド)
酸素: 宇宙飛行士の呼吸や船内環境維持に使用される酸素 0 kg (供給なし)
窒素: 船内気圧の調整などに使用される窒素 40 kg (約88ポンド)
水: 宇宙飛行士の生活や実験に使用される水 420 kg (約930ポンド)

このように、プログレスMS-24はISSの安定した運用と宇宙飛行士の活動を支えるために、多岐にわたる重要な物資を輸送しました。その任務の完了まで、ISSへの生命線として機能し続けました。

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