プロジェクト・ヘイル・メアリー

プロジェクト・ヘイル・メアリー

アンディ・ウィアーによる長編SF小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』（原題: Project Hail Mary）は、2021年に発表された作品です。原著は同年5月に米国で刊行され、日本語版は小野田和子氏の翻訳により、同年12月に早川書房から出版されました。本作は、日本のSF界で権威ある賞の一つである第53回星雲賞海外長編部門を受賞しています。

概要

この小説は、世界的なベストセラーとなった『火星の人』（映画化邦題『オデッセイ』）、そしてそれに続く『アルテミス』に続く、ウィアーにとって3作目の長編となります。ジャンルとしては広義のファーストコンタクトSFに分類されますが、特筆すべきは、前作『火星の人』と同様に、主人公が広大な宇宙空間で孤独な状況に置かれながら、全人類を未曽有の危機から救うために奮闘する姿を緻密な科学描写を交えて描いている点です。その評価は非常に高く、2021年には多くの主要なメディアや書評家によって年間ベストSF＆ファンタジーの一つに選出されました。さらに、日本語版は、ウィアー作品としては『火星の人』に続き、2度目となる星雲賞海外長編部門の受賞という快挙を成し遂げ、国内でも大きな注目を集めました。

あらすじ

物語は、主人公が一切の記憶を失った状態で、見知らぬカプセルのような部屋で目覚めるところから始まります。彼は自身がライランド・グレースという名の科学者であることをやがて思い出し、周囲の状況を科学的な分析や実験によって探ることで、自分が遥か遠い宇宙空間を進む宇宙船の中にいることを悟ります。断片的に、あるいは徐々に蘇る過去の記憶から、彼は驚愕の事実を知ることになります。それは、太陽の活動の異常により、母なる地球がまさに滅亡の危機に瀕しており、そして自分自身がその危機を回避するための極秘ミッションを託され、この宇宙船に乗っているということでした。なぜ自分がここにいるのか、仲間の姿は見えないのか、失われた記憶の断片を繋ぎ合わせながら、孤独な状況下でライランドは人類の存続をかけた壮絶な挑戦に一人で立ち向かうことになります。

映画化情報

本作は早くも映画化が決定しており、現在制作が進められています。当初MGMにより企画され、後にAmazon MGM Studiosが制作を担うことになりました。主演は、映画『ブレードランナー 2049』や『ラ・ラ・ランド』などで知られる人気俳優ライアン・ゴズリングが務めることが発表されています。監督には、映画『LEGO ムービー』や『スパイダーマン：スパイダーバース』などで手腕を発揮したフィル・ロード＆クリス・ミラーのコンビが起用され、その斬新な演出に期待が寄せられています。脚本は、アンディ・ウィアーの前作『火星の人』（映画版邦題『オデッセイ』）でアカデミー脚色賞にノミネートされたドリュー・ゴダードが再び担当しており、原作の魅力をどのように映像化するかに注目が集まります。プロデューサー陣には、エイミー・パスカル、アディタヤ・スード、レイチェル・オコナーといった映画界の要人に加え、原作者であるアンディ・ウィアー自身も名を連ねています。現在のところ、米国での公開日は2026年3月20日を予定しており、完成が待たれる超大作となる見込みです。

書誌情報

日本語版の書誌情報は以下の通りです。

アンディ・ウィアー（著） / 小野田和子（訳）
早川書房より2021年に上下巻で刊行
『プロジェクト・ヘイル・メアリー 上』 ISBN: 9784152100702
『プロジェクト・ヘイル・メアリー 下』 ISBN: 9784152100719

関連事項

関連性の深い項目としては、原作者であるアンディ・ウィアー氏の名前や、彼の代表作である『火星の人』などが挙げられます。

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