プロセス神学

プロセス神学：変化する世界と動的な神

プロセス神学は、20世紀のアメリカで台頭した革新的な神学体系です。従来の神学的枠組みとは異なる視点から神を捉えようとする試みであり、特に「プロセス哲学」の影響を強く受けています。プロセス哲学は、絶え間ない変化と生成を世界の根源的な性質とする哲学で、アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドによって体系化されました。

ホワイトヘッドは、世界を静的で不変のものではなく、動的で常に変化し続けているものと見なしました。彼の哲学では、「生成」が中心的な概念であり、存在の本質は絶え間ない変化と創造のプロセスの中にこそあると主張しています。この考えは、従来の静的で不変の存在観を前提とする神学とは対照的です。さらに、ホワイトヘッドは神自身もこの生成のプロセスに従属していると捉え、神の超越性と内在性の両面を新たな視点から考察しました。

チャールズ・ハートショーンは、ホワイトヘッドの思想をさらに発展させ、神学に取り入れました。彼は、生成、本質存在、無限、永遠を神の属性として統合し、神もまた時間的、有限的な存在であると主張しました。ハートショーンにとって、神は静止した存在ではなく、創造と関係性のプロセスそのものであると言えるのです。

このような革新的な神学的視点を共有する神学者たちが、プロセス神学というグループを形成しました。代表的な人物には、デヴィッド・レイ・グリフィン、ノーマン・ピッテンガー、ダニエル・デイ・ウィリアムス、シュバート・オグデン、ジョン・コブ・ジュニアらが挙げられます。彼らは、従来の神学の枠を超え、現代社会の課題に直面する新たな神学の構築を目指しました。

プロセス神学は、世界と神の関係性を、静的な支配関係ではなく、動的な相互作用として理解します。神は世界を外部から制御するのではなく、世界と絶え間なく関わり合い、創造と関係性のプロセスを通して世界を導いていると捉えられています。この考えは、世界における神の働きをより現実的でダイナミックなものとして理解することを可能にします。

日本においても、プロセス神学は着実に研究されています。ステパノ・フランクリン神父のように、福音主義神学とプロセス神学の接点を研究する神学者も存在します。彼らの研究は、異なる神学体系間の対話と統合の可能性を示唆しており、今後の日本におけるプロセス神学の発展に大きく貢献するでしょう。

プロセス神学は、変化の激しい現代社会において、静的な固定観念にとらわれず、常に変化し続ける世界と、その中で創造的に働きかける神の姿を提示しています。その動的な神観は、新たな神学的問いかけを私たちに投げかけ、従来の神学とは異なる視点から神と世界、そして人間自身を理解する道を拓く可能性を秘めていると言えるでしょう。

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