プロトン・ティアラ

ティアラ (TIARA)

ティアラは、マレーシアの自動車メーカー、プロトンが生産した自動車であり、シトロエン・AXを基にしたモデルです。プロトンは、日本の三菱自動車と提携し、国民車とも言われるサガを成功裏に生産した後、更なる低価格帯の車両を求めて、フランスのPSA・プジョーシトロエンと提携しました。その結果、1996年からシトロエンAXのライセンス生産を開始しました。これにより、ティアラが誕生しました。

概要とデザイン

ティアラのデザインは、当時の上級車ウィラ・サガの影響を受けており、特徴的な青いエンブレムや大きめのバンパーが取り入れられていました。また、テールライトのデザインやサイドプロテクションモールも異なっており、一見するとフランス車とは思えないスタイルが特徴でした。このように、デザインの違和感を軽減するためにプロトンは多くの工夫を重ねました。

エンジンは直列1100ccのSOHC型で、最大出力は45馬力というシンプルなものでした。上級エンジンやディーゼル版はラインナップされず、ボディタイプも5ドアハッチバック一種類のみとされていました。

車の性能

ティアラは1996年に販売が開始されたものの、シトロエンAXの設計は遡ること1986年にさかのぼります。そのため、ティアラの発売当初にはすでに古い設計とされ、他のモデルに比べて魅力に欠けるとされていました。しかし、優れた空気抵抗特性や軽量設計により、低燃費を実現していたことは評価されました。また、サスペンションも優れたストロークを持ち、乗り心地や操縦性も良好でした。

売上と生産終了

とはいえ、当時のマレーシアのスモールカー市場ではダイハツ・シャレードやスズキ・カルタス（スイフト）などが人気を集めており、ティアラはその環境において苦戦を強いられました。デザインの古さや製品仕上げの質で不満が表明され、販売は伸び悩む結果となりました。1997年には、ティアラの設計を推進した当時のCEO、ヤハヤ・アーマドが不慮の事故で亡くなるという事態も重なりました。

ティアラは、不評を受けながらも僅か4年で生産を終了し、プロトンは再び三菱自動車との関係を強化する方向に頭を戻しました。そのため、ティアラは短命で終わっただけでなく、中古市場でのリセールバリューも芳しくない状況でした。

後継車とその意義

ティアラの後継は長い間存在しなかったものの、2005年になりプロトンは新たにサヴィを発表しました。これにより、ティアラが果たせなかった市場へのリトライの意思が示されました。

車名の意味

「ティアラ」は英語で「宝石付きの冠」を意味し、この名称は車の高級感を象徴しています。

関連項目

• - プロトン
• - プロトン・サヴィ
• - シトロエン・AX

ティアラはその独自のデザインや技術に魅力を持っていましたが、販売戦略や市場の状況などの影響で歴史に名を刻むことはできませんでした。その短い運命が、今も多くの自動車愛好家の記憶に残っています。

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