ダイハツ・シャレード

ダイハツ・シャレード：小型車の革命と進化の軌跡

ダイハツ工業によって1977年から2000年にかけて製造・販売された小型乗用車、シャレード。その歴史は、日本の自動車産業、ひいては世界における小型車開発の歴史において重要な位置を占めています。本稿では、シャレードの各世代の特徴、技術革新、販売状況、そしてモータースポーツでの活躍などについて詳細に解説します。

初代シャレード(G10系 1977年-1983年)：リッターカーの幕開け

1977年、当時としては画期的な前輪駆動、1.0L直列3気筒エンジンを搭載した初代シャレードが登場しました。この革新的なエンジンは、コンパクトなサイズと優れた燃費性能を実現し、「リッターカー」という新たなカテゴリーを創造するきっかけとなりました。2ボックスハッチバックスタイルのボディは、クラスを超えた広々とした室内空間を提供しました。CMキャラクターにはセーラ・ロウエルを起用し、当時としては斬新な「5平米カー」というキャッチコピーと共に、大衆車とは異なる世界観を打ち出しました。発売後、大きな成功を収め、1978年にはモーターファン誌のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。1980年にはマイナーチェンジを行い、ヘッドライトデザインやエンジン出力の向上を図りました。また、1981年には東京モーターショーで、デ・トマソがチューンした高性能モデル「シャレード・デトマソ・ターボ」が参考出品され大きな話題を呼びました。このモデルは、独自のエアロパーツ、スポーティな内装、そしてターボチャージャー付きエンジンを備え、高い注目を集めましたが、市販化には至りませんでした。

2代目シャレード(G11系 1983年-1987年)：多様なバリエーションとモータースポーツ参戦

1983年、初代の設計思想を継承しつつ、室内空間の拡大を図った2代目シャレードが登場。世界最小クラスのディーゼルエンジンや、ターボモデル、「シャレード・デトマソ・ターボ」、そして1.0Lクラス唯一のディーゼルターボモデルなど、幅広いバリエーションが展開されました。ディーゼルモデルは、「Rock'n（ロックン）ディーゼル」というキャッチコピーで、その独特の振動と騒音を逆に魅力として打ち出しました。このモデルより全車にフロントディスクブレーキが標準装備となりました。さらに、926ターボというラリー参戦を目的とした限定モデルも登場。グループB規定に合わせたチューニングが施され、サファリラリーや1000湖ラリーにスポット参戦しました。このモデルでは、東京モーターショーにミッドシップレイアウトのコンセプトカー「デ・トマソ926R」を出展。その美しいデザインと高い性能は多くの注目を集めましたが、こちらも市販化はされませんでした。

3代目シャレード(G100系 1987年-1993年)：スタイリッシュなデザインとグローバル展開

1987年、フルモデルチェンジにより登場した3代目シャレードは、若年層を取り込むため、ラテン風のスタイリッシュなデザインを採用しました。クーペのようなスタイルで後部座席の居住性よりも荷室空間を優先した「ツーサム」コンセプトは、当時としては革新的でしたが、市場の反応は賛否両論となりました。エンジンは、1.0L 3気筒CB型から、1.3L 4気筒HC型までバリエーションが拡大。フルタイム4WDモデルも追加されました。3代目シャレードはアメリカ合衆国にも輸出されましたが、販売は低迷しました。しかし、モータースポーツでは1993年のWRCサファリラリーで、総合5位～7位に入るなど、高いポテンシャルを示しました。

4代目シャレード(G200系 1993年-2000年)：成熟と終焉

1993年登場の4代目シャレードは、車体が大型化し、1.0Lエンジン搭載モデルが廃止されました。「リッターカー」という枠を超え、より成熟したモデルへと進化を遂げました。高品質なインテリアと充実した装備、そして1.3Lから1.6Lまでの幅広いエンジンラインナップが特徴でしたが、ライバル車と比較するとデザインやキャラクターが地味だったこともあり、販売は低迷しました。この世代には、デ・トマソモデルも復活しましたが、1998年に販売終了。4代目シャレードは、1999年に生産終了し、2000年に日本市場での販売が終了しました。ソシアルというセダンモデルは1994年から販売されましたが、これも1999年に生産終了となりました。

シャレードのその後と海外展開

4代目をもって日本市場におけるシャレードの歴史は幕を閉じましたが、海外ではミラやヴィッツをベースとしたモデルが「シャレード」の名前で販売されました。特に中国では天津汽車によって生産され、タクシーなどとして広く普及しました。

まとめ：小型車史に刻まれた足跡

シャレードは、小型車の概念を革新し、時代のニーズに合わせた進化を遂げたモデルでした。その歴史は、日本の自動車産業における小型車開発の歩み、そしてダイハツ工業の技術力の進化を物語る重要な一章と言えるでしょう。

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