プロメテウス (リスト)

交響詩『プロメテウス』 S.99 について

フランツ・リストが作曲した交響詩『プロメテウス』S.99は、ギリシア神話に登場する英雄プロメテウスの物語を音楽で描いた作品です。リストは、1850年にドイツの詩人・哲学者ヘルダーの像の除幕式のために序曲と合唱曲を作曲しましたが、その後序曲を独立した作品として改訂し、1855年に交響詩として発表しました。

プロメテウスの物語

プロメテウスは、人間に火を与えたことで神々の王ゼウスの怒りを買い、岩山に縛り付けられ、毎日ワシに肝臓を啄まれるという責め苦を受けます。しかし、後に英雄ヘラクレスによって救出されます。リストは、このプロメテウスの苦悩、そして解放された喜びを、この交響詩の中で音楽的に表現しました。

音楽構成と特徴

この交響詩は、プロメテウスの怒りと苦悩を象徴するような力強い冒頭部分から始まります。対照的に、優しく美しい旋律も登場し、曲に豊かな表情を与えています。中間部では、フーガ風の展開が見られ、これは文明がもたらされるまでの困難な過程を表していると解釈されています。

全体として、約12分の演奏時間の中で、プロメテウスの激しい感情の変化と、それを取り巻く世界のダイナミズムを表現しています。リストの卓越した作曲技法と、物語を音楽で語る力が見事に融合した作品と言えるでしょう。

楽器編成

この交響詩は、以下の楽器編成で演奏されます。

ピッコロ
フルート2
オーボエ2
コーラングレ
クラリネット2
ファゴット2
ホルン4
トランペット2
トロンボーン3
チューバ
ティンパニ
弦五部

この多様な楽器編成が、曲の表現力をさらに豊かにしています。

参考資料

より詳しい情報を知りたい方は、以下の資料をご参照ください。

『最新名曲解説全集4 管弦楽I』（音楽之友社）

外部リンク

プロメテウスの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)

この交響詩は、リストの交響詩の中でも特にドラマティックで聴き応えのある作品の一つです。ぜひ、一度聴いてみてください。

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