ヘイ!バディー

『Hey!Buddy』の概要と文化的影響

『Hey!Buddy』（ヘイ!バディー）は、1980年に白夜書房から毎月刊行されていた男性向け雑誌で、特にロリータテーマを強く打ち出していました。創刊号は1980年7月で、キャッチコピー「熱くいこうぜ!相棒」からも分かるように、男性読者を意識した内容が展開されました。最初は一般向けの男性雑誌として、ヌードモデルや釣り、競馬といったテーマが中心でしたが、次第にロリータに特化した内容にシフトしていきました。

1981年以降、編集部は当時人気を集めていたミニコミ誌『突然変異』のロリコン記事に影響を受け、1982年には明確にロリコン路線に移行しました。この転換は、雑誌の人気をさらに高め、特に1980年代後半には年間8万部を売り上げる人気誌となりました。この時期、他の作品と同様に『写真時代』や『漫画ブリッコ』などと並び、サブカルチャーに多大な影響を与えました。

しかし、1985年には衝撃的な事件が発生しました。9月号の増刊『ロリコンランド8』が警視庁によって摘発され、発禁処分となったのです。この事件は、日本の雑誌において少女のわいせつ性が公式に認められたことを意味し、この影響から無修正のヌードやわいせつ写真が雑誌に掲載されることは極めて困難になりました。高桑編集長はこの変化を受けて、1985年11月号を最後に雑誌を自発的に廃刊することを決定しました。終刊号のキャッチコピー「ロリコンの時代は終わった 次はティーン・エイジだ!!」は、雑誌の終焉を象徴する言葉となりました。

内容と編集方針

『Hey!Buddy』では、ロリータに関連する実写、漫画、アニメ、ビデオ、同人誌など多様な情報を幅広く取り上げていました。元祖ロリコン漫画家として知られる杉本五郎や内山亜紀などが頻繁に誌面に登場し、編集部はその活動を積極的に支援していました。また、執筆陣には高杉弾や青山正明といった著名なライターが名を連ね、サブカルチャーに関する様々な話題も取り上げられました。

まれに不評を買ったプロレス記事など、ロリータ以外のコンテンツも取り入れられましたが、特に青山正明が執筆した「Flesh Paper（肉新聞）」では、自由な発想からロリータ以外の話題やカルチャーを紹介していました。これにより、『Hey!Buddy』はエロ本としての柔軟性と自由な創造性を確立しました。

読者投稿の“少女いたずら写真コーナー”では、いわゆる「少女犯罪写真」が掲載されるなど、論争を呼ぶ内容も含まれており、特に盗撮などの犯罪臭を漂わせる投稿には多くの支持が寄せられ、実際に送られた写真は最終的に7万2千枚に達しました。同雑誌の常連投稿者の中には、実際に逮捕される者も少なくなかったと言われています。

興味深いのは、終刊号での読者アンケートにおいて、「ロリコン」とされた読者の大半が女子大学生などの大人に色めき立っていたことです。これは、当時の読者が単に幼い女の子の姿を楽しむだけでなく、成熟した女性との関係性を求めていたことを示しています。このような複雑な背景から、『Hey!Buddy』は単なるロリータ雑誌を超えた独自の文化的な地位を築いていました。

まとめ

『Hey!Buddy』は、1980年代の日本における文化現象として、多くの議論を呼びました。その影響は今日でも色濃く残っており、サブカルチャーの火種を提供した重要な雑誌となっています。廃刊の決定は時代の流れを反映したものであり、その後の媒体や文化に与えた影響は決して小さなものではありません。

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