ヘグリグ

ヘグリグの概要

ヘグリグ（Heglig）は、スーダンの西コルドファーン州に位置する小さな町で、南スーダン国境近くの地域にあります。この町は歴史的に、スーダンと南スーダンの領土問題の一環として、度々争いの対象になってきました。特に、南スーダン政府はヘグリグを自国のワラブ州に含むと主張しており、これが地域の緊張を高めています。特に、第二次スーダン内戦の影響で、この地域は戦闘の舞台となりました。

歴史的背景と領有権争い

ヘグリグ周辺は、スーダン保健省が指定した安全区域の近くにあり、過去には南スーダン軍による攻撃を受けたことがあります。2012年4月、南スーダン軍はヘグリグの油田を占拠し、これに対抗してスーダン軍が武力を用いて占領地の奪還を試みました。しかし、南スーダン軍は占領から10日ほどで自発的に撤退し、再びスーダン側の統治下に戻りました。この一連の出来事が、地域のさらなる緊張を招く要因となっています。

地名の由来

ヘグリグの名前の由来は、アラビア語で「デザート・デイト」を意味しています。この植物は特に砂漠地帯でよく見られ、スーダンのスーフィー派の人々は、ナツメヤシの実を使って祈りのロザリオを作る伝統があります。また、南スーダンでは町名の呼び方が異なり、同地域は英語で「タウン・パンソウ」と呼ばれています。これは、南スーダンのディンカ族の言葉に由来しており、領有権の象徴的な意味を持つ名称変更の一環と考えられます。

ヘグリグ油田

ヘグリグはスーダンの経済において重要な位置を占めており、特にムグラッド盆地に広がる油田がその主な要因です。ヘグリグ油田は1996年に開発が始まり、現在はグレーター・ナイル石油・オペレーティングカンパニーによって操業されています。かつて産出量はピークに達しましたが、現在は減少傾向にあります。この油田は、スーダンの首都ハルツーム及びポートスーダンに繋がるパイプラインとも結ばれており、地域の重要な経済的資源となっています。

国際的な裁定とその影響

2009年、常設仲裁裁判所（PCA）はスーダンと南スーダンの間のアビエイ地域の境界をしっかりと定めました。この裁定によって、ヘグリグ油田がスーダン側に属すると認識されましたが、油田から得られる原油の分配については明確な決定がされませんでした。これにより、スーダン政府はヘグリグ油田を完全に自国のものと主張しており、南スーダン側の権利は議論の余地があります。

2012年の紛争はヘグリグ周辺で発生した武力衝突の最新の例であり、地域の経済や住民の生活に大きな影響を与えています。この町は、スーダンと南スーダンの複雑な政治的および経済的背景を反映する、重要な地理的なポイントと言えるでしょう。

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