ヘナン・バラオン

ヘナン・バラオン： ブラジルの闘将、栄光と挫折の軌跡

ヘナン・バラオン (Renan Barão) は、1987年1月31日生まれ、ブラジル・リオグランデ・ド・ノルテ州ナタル出身の総合格闘家です。14歳からボクシングを始め、後にブラジリアン柔術を習得。卓越した打撃と寝技を武器に、数々のタイトルを獲得し、UFCバンタム級を代表するファイターとして名を馳せました。

バラオンのキャリアは、2005年のデビュー戦での判定負けから始まりました。しかし、その後はめきめきと頭角を現し、2008年には修斗南米大陸ライト級王座を獲得。母国ブラジルのローカル団体で経験を積み、ノーコンテストを1度挟みながらも23連勝という驚異的な戦績を収めます。

2010年、バラオンはWEC (World Extreme Cagefighting) に参戦。WEC 49でアンソニー・レオーネを相手に一本勝ちを収め、世界的な舞台への階段を駆け上がります。

2011年、UFC (Ultimate Fighting Championship) に参戦したバラオンは、持ち前の実力で次々と勝利を重ねていきます。コール・エスコベド、ブラッド・ピケットらを相手に勝利し、特にピケット戦では「ファイト・オブ・ザ・ナイト」を受賞するなど、その名を世界に轟かせました。

そして2012年、UFC 149のUFC世界バンタム級暫定王座決定戦でユライア・フェイバーを破り、暫定王者に輝きます。続く防衛戦でもマイケル・マクドナルド、エディ・ワインランドを相手に勝利し、いずれも「サブミッション・オブ・ザ・ナイト」「ノックアウト・オブ・ザ・ナイト」を獲得するなど、圧倒的な強さを見せつけました。正規王者ドミニク・クルーズの負傷欠場により、バラオンは正規王者に昇格します。

2014年、ユライア・フェイバーとの再戦では1ラウンドKO勝ちで防衛に成功。しかし、同年5月、TJ・ディラショーとの対戦で5ラウンドに及ぶ激闘の末、KO負けを喫し王座陥落。32連勝（ノーコンテスト1試合を含む）は途絶え、9年1ヶ月ぶりの敗北となりました。この試合は「ファイト・オブ・ザ・ナイト」を受賞しました。ディラショーとの再戦が予定されていましたが、減量中のアクシデントにより欠場せざるを得なくなりました。

その後もバラオンは、ミッチ・ガニョンに勝利するなど活躍を見せますが、TJ・ディラショーとの3度目の対戦では再び敗北を喫し、王座奪還は叶いませんでした。さらに、フェザー級への転向も試みましたが、思うような結果を残すことができず、その後バンタム級に戻ってからも苦戦を強いられました。

バラオンはUFCにおいて、3度の「ファイト・オブ・ザ・ナイト」、1度の「ノックアウト・オブ・ザ・ナイト」、1度の「サブミッション・オブ・ザ・ナイト」、そして1度の「パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト」を受賞するなど、数々の輝かしい功績を残しました。彼のキャリアは、頂点への到達とそこから転落、そして再起への挑戦という、格闘家としてのドラマチックな人生を物語っています。ブラジルが生んだ最強のファイターの一人として、その名はこれからもMMA史に刻まれ続けるでしょう。

獲得タイトル:
初代修斗南米大陸ライト級王座 (2008年)
UFC世界バンタム級暫定王座 (2012年)
第2代UFC世界バンタム級王座 (2013年)

表彰:
ブラジリアン柔術黒帯
UFC ファイト・オブ・ザ・ナイト (3回)
UFC ノックアウト・オブ・ザ・ナイト (1回)
UFC サブミッション・オブ・ザ・ナイト (1回)
UFC パフォーマンス・オブ・ザ・ナイト (1回)

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