ヘラクレスの逆襲

ヘラクレスの逆襲

1959年にイタリアで製作された冒険アクション映画で、原題は「Ercole e la regina di Lidia」または「Hercules Unchained」です。

ソポクレスの「コロノスのオイディプス」やアイスキュロスの「テーバイ攻めの七将」といった古典悲劇を下敷きにしながらも、怪力英雄ヘラクレスの活躍を描くソード&サンダル作品として、『ヘラクレス』（1958年）の続編にあたります。

物語

かつてヨルコ国の危機を救った不世出の英雄ヘラクレスは、愛するヨーレと結婚し、友人のユリシーズと共に故郷のテーベへ帰還します。

しかし、テーベでは深刻な事態が進行していました。本来であれば1年ごとに王位を交代する約束であった現王エテオクレスと弟ポリニセスとの間で、王位継承を巡る激しい対立が勃発寸前だったのです。期限が過ぎても王位を譲らないエテオクレスは、ポリニセスの元へ使いを出すことを決め、その重要な役目をヘラクレスに託します。

ヘラクレスはユリシーズを伴ってポリニセスの許へ向かう旅に出ますが、その道中で立ち寄った泉の水を口にした途端、その神秘的な力によってすべての記憶を失ってしまいます。さらに、そこに現れた謎の兵士の一隊に捕らえられ、遠く海を越えたリディア国へと拉致されてしまうのでした。

リディアを支配する美貌の女王オンファーレは、強力な魔術の使い手でした。彼女はヘラクレスを自らの意のままに操ろうと、記憶を奪った上にミイラ化を図ります。一方、テーベに残されたユリシーズは、ヘラクレスの危機を知り、伝書鳩を飛ばしてヘラクレスのかつての功績地であるヨルコ国へ救援を要請します。

ユリシーズからの報せを受けたヨルコ国の勇者たちは、海を渡ってリディアへと駆けつけます。彼らはオンファーレの軍隊と激戦を繰り広げ、その魔の手からヘラクレスを救出することに成功し、オンファーレの王国を滅ぼします。

盟友たちと共にテーベへ戻ったヘラクレス一行が見たものは、既に本格的な内戦へと発展していたエテオクレスとポリニセス兄弟の戦いでした。ポリニセスの軍勢は宮殿の城壁に迫っており、さらにヨーレが人質にとられていることを知ったヘラクレスは激怒します。

ヘラクレスはエテオクレス軍を率いて立ち向かい、圧倒的な怪力でポリニセスの軍勢を打ち破ります。壮絶な戦いの末、兄弟は共に命を落とし、人質となっていたヨーレも無事救出されました。

内戦終結後、王位継承者がいなくなったテーベにおいて、英雄ヘラクレスが新たな王として即位し、平和を取り戻すのでした。

キャスト

本作に登場する主なキャラクターとキャストは以下の通りです。

ヘラクレス：スティーヴ・リーヴス（日本語吹替：小林修）
ヨーレ：シルヴァ・コシナ
オンファーレ：シルヴィア・ロペス
ユリシーズ：ガブリエラ・アントニーニ
エテオクレス：セルジオ・ファントーニ
ポリニセス：ミンモ・パルマラ
オイディプス：チェザーレ・ファントーニ
アンタイオス：プリモ・カルネラ
* ペーネロペー：パトリツィア・デラ・ロヴェーレ

その他

本作の英語タイトルである「Hercules Unchained」は、後にクエンティン・タランティーノ監督の映画『ジャンゴ 繋がれざる者』（原題: Django Unchained）のタイトルに影響を与えたと言われています。

主演を務めたスティーヴ・リーヴスは、前作『ヘラクレス』のヒットを受けて本作への出演を承諾しましたが、ヘラクレス役のイメージが固定化されることを避けるため、以降の作品で再びこの役を演じることはありませんでした。前作完成後、彼は一度アメリカへ帰国し、アメリカン・ヘルス・スタジオでインストラクターとして活動していた時期もあったとされています。

本作は、古代ギリシア神話や悲劇の要素を取り入れつつ、怪力アクションと冒険活劇の魅力を詰め込んだ、当時のイタリア製ポピュラー映画の代表的な一作です。

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