ヘルシュライバー

ヘルシュライバー

ヘルシュライバー（ドイツ語: Hellschreiber）は、ドイツの発明家ルドルフ・ヘルが1925年に発明した、ファックスをベースとしたテレタイプの一種です。

概要

ヘルシュライバーは、機械的な構造が単純で可動部が少ないため、メンテナンスが容易であるという特徴があります。有線・無線を問わず、低品質の通信回線でも受信者が理解できる情報を送ることが可能です。また、送信機を改良するだけであらゆる文字を送信できるため、日本や中国などの漢字文化圏でも広く使用されていました。

1920年代後半に開発され、1930年代から主に固定電話のプレスサービスで使用されていました。第二次世界大戦中には、ドイツ軍がエニグマ暗号化システムと組み合わせて使用し、「Hellschreiber」、「Feld-Hell」、または単に「Hell」と呼ばれていました。

日本では「鍵盤模写電信機」と呼ばれ、東方電機（松下電送、パナソニック システムソリューションズ ジャパンの前身）やソニーが日本語のカタカナ・英数を送れる機種を生産していました。戦後は新聞社、通信社などで紙テープに手書きした文字を光学的に読み取って送信する「新聞原稿電送装置」として普及し、1980年代まで使用されていました。現代では、主にアマチュア無線家による通信モードとして使用されています。

ソニーに1947年（昭和22年）4月に入社した木原信敏は、鍵盤模写電信機の部署に配属され開発に関わっていました。当時の機械はカタカナを送信することができ、外国の短波放送で流れていた情報を受信することもできました。この時の機械は平成になってソニーの展示会で展示されたことがあります。

伝達原理

各文字は7行×7列のグリッド、つまり49ドットに分割されます。ラスター送信により、ヘルシュライバーはラスター上で再現できるあらゆる文字を送信できます。

グリッドの各列を下から上に、それを左から右に送ります。送信機にはカムディスクが収まっていて、送信機のキーを押すと1回転し、送る文字に応じて異なる長さの電流パルスを生成します。

誤り訂正機能

ヘルシュライバーには誤り訂正機能は含まれていませんが、同じ文字を平行に2列印刷することで冗長性を確保しています。同期が崩れると印刷が斜めになりますが、2列印字することによって読む人間は脳内で補正して文字を読み取ることができます。また、受信信号の強弱により白黒の二択ではなくアナログな中間の濃度で印刷されるため、受信者はかすれた文字を読むことで元の文字を推測することが可能となります。

画像

外部リンク

Feld HellClubのWebサイト
信号識別WikiのHellschreiber

もう一度検索