ヘルドラド

W.A.S.P.の『ヘルドラド』は、1999年にリリースされた彼らの8枚目のスタジオ・アルバムです。このアルバムは、バンドの中心人物であるブラッキー・ローレスが創造した、悪魔の自動車をイメージした「ヘルドラド」という造語をタイトルに冠しています。ローレスによれば、この言葉はキャデラック・エルドラドのもじりであり、アルバムのコンセプトを象徴するものとなっています。

制作背景として、ローレスは本作を「楽しいレコードにしたかった」と語っています。前作『KILL FUCK DIE』が非常にダークな作品だったため、そのコントラストを強調する意図がありました。そのため、『ヘルドラド』は、より直接的で勢いのあるロックンロール・サウンドを追求しています。

リリース後、『ヘルドラド』はスウェーデンのアルバム・チャートで最高49位を記録し、1995年の『スティル・ノット・ブラック・イナフ』以来、4年ぶりにトップ60入りを果たしました。また、ドイツでは1999年5月31日付のアルバム・チャートで59位となり、1992年の『クリムゾン・アイドル』以来、7年ぶりにトップ100にランクインしました。

音楽評論家のスティーヴ・ヒューイは、オールミュージックで5点満点中2点を付け、「彼らの黄金時代である1980年代中期から後期よりも、幾分ヘヴィになったとはいえ、他のバンドと間違えることはあり得ない、相変わらずの音楽性である」と評しました。一方、『CDジャーナル』のミニ・レビューでは、「今作では直球型のR&Rとともに怒涛のW.A.S.P.魂が復活している」と評価されています。

『ヘルドラド』の収録曲は以下の通りです。全曲ともブラッキー・ローレスによって作詞・作曲されています。

1. ドライヴ・バイ - Drive By
2. ヘルドラド - Helldorado
3. ドント・クライ（ジャスト・サック） - Don't Cry (Just Suck)
4. ダムネイション・エンジェルズ - Damnation Angels
5. ダーティー・ボールズ - Dirty Balls
6. ハイ・オン・ザ・フレイムズ - High on the Flames
7. コカイン・カウボーイズ - Cocaine Cowboys
8. キャント・ダイ・トゥナイト - Can't Die Tonight
9. サタデイ・ナイト・コックファイト - Saturday Night Cockfight
10. ホット・ロッズ・トゥ・ヘル（ヘルドラド・リプライズ） - Hot Rods to Hell (Helldorado Reprise)

日本盤にはボーナス・トラックとして、以下のカラオケ・ミックスが収録されています。

1. ドント・クライ（ジャスト・サック）〔カラオケ・ミックス〕 - Don't Cry (Just Suck) (Karaoke Mix)
2. ダーティー・ボールズ〔カラオケ・ミックス〕 - Dirty Balls (Karaoke Mix)

アルバムの制作には、以下のミュージシャンが参加しています。

ブラッキー・ローレス - リード・ボーカル、ギター
クリス・ホルムズ - リードギター
マイク・デューダ - ベース、ボーカル
ステット・ホーランド - ドラムス

『ヘルドラド』は、W.A.S.P.の音楽性を特徴づける要素が凝縮された作品であり、彼らのキャリアの中でも重要な位置を占めています。

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