ヘルメス叢書

ヘルメス叢書の概要

ヘルメス叢書は、日本の出版社白水社が1977年から1979年にかけて出版した、魔術や錬金術、占星術、ヘルメス主義をテーマにした全7巻からなる叢書です。このシリーズは、古典的かつ神秘的な思想を深く掘り下げるものであり、多くの読者に支持されました。特に、西洋の神秘思想に興味を持つ人々から高い評価を受けています。

出版の背景

1970年代は精神世界への関心が高まり、神秘主義やオカルトに関連する文献が再評価されていました。ヘルメス叢書はこの流れの中で、古代の知識を現代に伝える役割を果たしました。特に、ヘルメス学は哲学や宗教に多大な影響を与えてきたため、この叢書はその影響を理解するための貴重な資料となります。

叢書の構成

ヘルメス叢書は以下の7巻から成り立っています。それぞれが魔術、錬金術、占星術、またはヘルメス主義に関連したテーマを扱い、著者や翻訳者によって解説されています。

1. 象形寓意図の書・賢者の術概要・望みの望み
ニコラ・フラメルの作品で、有田忠郎によって翻訳されました。最初の巻は、古代の象形文字や象徴に基づく知識を紹介します。
発行年: 1977年7月（新装版1993年10月）

2. 自然哲学再興・ヘルメス哲学の秘法
ジャン・デスパニエの著作で、同じく有田忠郎が翻訳しています。ヘルメス哲学の核心を探る内容となっています。
発行年: 1977年5月（新装版1993年11月）

3. 沈黙の書・ヘルメス学の勝利
作者不詳の作品で、リモジョン・ド・サン=ディディエによる著作を有田忠郎が翻訳。ヘルメス学の意義を探る深い考察がなされています。
発行年: 1977年9月（新装版1993年12月）

4. 賢者の石について・生ける潮の水先案内人
ラムスプリンクとマテュラン・エイカン・デュ・マルティノーによる作品が含まれ、有田忠郎の翻訳で伝えられています。
発行年: 1977年12月（新装版1994年1月）

5. 闇よりおのずからほとばしる光
マルク＝アントニオ・クラッセラームの作品で、彼の思想を探る貴重な資料となっています。翻訳は有田忠郎。
発行年: 1979年6月（新装版1994年2月）

6. 占星術または天の聖なる学
マルクス・マニリウスによる占星術に関する重要な著作で、有田忠郎が訳しています。
発行年: 1978年7月（新装版1993年11月）

7. 魔術と占星術
アルフレッド・モーリーの著作であり、占星術と魔術の関係を探求する内容です。有田忠郎の翻訳です。
発行年: 1978年11月（新装版1993年10月）

新装版の発行

1993年からは新装版も刊行され、装丁が変更されるとともに、紙カバー付きのソフトカバーとして読者に提供されることになりました。これにより、より多くの人々が手に取りやすくなり、ヘルメス叢書は新たな読者層を獲得しました。

まとめ

ヘルメス叢書は、魔術、錬金術、占星術、ヘルメス主義に関する深い理解を提供しており、これらのテーマに興味を持つ人々にとって貴重な資料です。古代の知識と現代の見解が融合した内容は、今なお多くの読者の探求心を掻き立てています。

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