ヘロイン (ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲)

ヘロイン (Heroin)

「ヘロイン」は、アメリカのロックバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが1967年に発表した楽曲です。この曲は、同年3月12日にリリースされたアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』に収録されています。

音楽的背景

楽曲の強烈な印象は、ルー・リードがボーカルとリードギターを担当し、ジョン・ケイルがエレクトリック・ヴィオラを奏でることで形作られました。また、スターリング・モリソンがリズムギターを担当し、モーリン・タッカーのパーカッションがリズムを補強します。曲は主に「D♭」と「G♭」のコードによって構成されており、ベースは使用されていません。

「ヘロイン」の歌詞には、海への憧れを表現した一節があります。「千年前に生まれたらよかったのに／ばかでかい帆船に乗って／真っ暗な海に向かって旅立ちたかった」という言葉からは、自由と逃避のテーマが感じられます。このような詩的要素が、曲全体の雰囲気を引き立てています。

録音の経緯

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、1966年の4月にニューヨークのセプター・スタジオで初期の録音を行いましたが、同年の5月にはロサンゼルスのTTGスタジオで再録音を行い、最終的なバージョンを完成させました。なお、「ヘロイン」はアナログ盤ではB面に収録されています。続いて2012年にはアルバムの45周年を記念したスーパーデラックス・エディションがリリースされ、未発表のテイクなども収められました。

ライブ・バージョンと他のバージョン

「ヘロイン」の初期の録音バージョンは、1965年7月にモーリン・タッカー以外のメンバーによってニューヨークのラドローストリートで録音されたものです。このバージョンではルー・リードがアコースティック・ギターを演奏しており、1995年にリリースされたコンピレーションアルバム『Peel Slowly and See 1965-1969』で聴くことができます。このバージョンは、後の正式録音と比べても構成が明確に異なっており、ファンの間でも特別な位置を占めています。

文化的影響

「ヘロイン」は、音楽だけでなく、文学や映画など多岐にわたる文化的な影響も持っています。デニス・ジョンソンの短編集『Jesus' Son』は、本曲の歌詞に由来しており、その日本語版は柴田元幸の手によって2009年に出版されました。また、1999年にはこの短編集を基にした映画が公開され、ビリー・クラダップが主演を務めました。

「ヘロイン」は、その音楽的な独自性と文化的な足跡から、今なお多くの人々に影響を与え続けています。ロックの歴史における重要な一曲として、今後も語り継がれていくことでしょう。

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