ヘンリー (グロスター公)

グロスター公爵ヘンリー王子の生涯

グロスター公爵ヘンリー王子（1900年3月31日 - 1974年6月10日）はイギリス王室の一員であり、軍人としても評価された人物です。彼は、当時ヨーク公であったジョージ王子の三男として、ノーフォーク県サンドリンガムで生を受けました。ヘンリー王子の兄にはエドワード8世、ジョージ6世が、また姉にはハーウッド伯爵夫人メアリー、弟にはケント公ジョージがいます。彼は1900年5月にウィンザー城のプライベートチャペルで洗礼を受け、数名の著名な皇族や貴族が代父母として名を連ねました。

学歴と軍歴

ヘンリーは1913年からイートン校で教育を受け、その後1919年にサンドハースト王立陸軍士官学校に入学し、陸軍に進みました。彼は第10軽騎兵連隊で将校としてのキャリアを築き、1937年に退役するまでこの部隊に勤務しました。第二次世界大戦の勃発後は再び軍に復帰し、首席連絡将校として従事しました。その後、彼は1955年に陸軍元帥、1958年には空軍元帥に昇進しました。

公爵の叙任と公務

1928年、ヘンリーはグロスター公に叙されました。1930年にはエチオピア皇帝ハイレ・セラシエの戴冠式に参加するため、アディスアベバに赴くなど、外交面でも活躍しました。また1929年には日本を訪れ、靖国神社や明治神宮などを巡りました。特に二次大戦中、その存在は重要視され、1944年にはオーストラリア総督に任命され、1945年から1947年にかけてその職務を全うしました。

当時のオーストラリアの政治情勢において、彼の任命は王族による信頼を示す象徴であり、国家のイギリス離れを抑える目的がありました。公爵夫人アリスは国民に良い印象を与え、夫の公務への姿勢を後押ししました。ヘンリーは公務に尽力し、1949年には南アフリカを訪れた他、その後も様々な公務を遂行しました。

家族と個人的な背景

1935年、彼はアリス・モンタギュー＝ダグラス＝スコットと結婚し、二人の息子、ウィリアムとリチャードを授かりました。しかし、晩年には運命が彼に試練を与え、1972年には長男ウィリアムが飛行機事故で亡くなり、また同年には自身も脳卒中に襲われました。1974年に74歳で世を去るまで、ヘンリー王子はジョージ5世の子供たちの中で最も長生きした人物となりました。

歴史的な意義

ヘンリー王子の生涯は、政治的、軍事的な側面だけでなく、個人的な奮闘の物語でもありました。彼の公爵職とその社会的影響、さらには家族との絆は、イギリス王室の歴史の中で重要な位置を占めています。彼の死後、グロスター公位は次男のリチャード王子に継承され、その伝統が続くこととなりました。また、彼の肖像は1935年に発行された100カナダドル紙幣にも使用されるなど、歴史的記憶としても残されています。

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