ヘンリー・ロードン＝ヘイスティングズ (第4代ヘイスティングズ侯爵)

第4代ヘイスティングズ侯爵の生涯

第4代ヘイスティングズ侯爵、ヘンリー・ウェイズフォード・チャールズ・プランタジネット・ロードン＝ヘイスティングズは、1842年7月22日に誕生しました。彼は、イギリスの貴族であり、莫大な資産を所有していましたが、その人生は悲劇的な結末を迎えました。彼の父は第2代ヘイスティングズ侯爵、母は第20代ルシンのグレイ女男爵バーバラ・エルバートンでした。ヘンリーが2歳の時に父が亡くなると、兄ポーリンが爵位を継承しましたが、1851年に兄も亡くなったため、わずか9歳でヘイスティングズ侯爵位とラウドン伯爵位を相続しました。

1858年には母からもルシンのグレイ男爵位を継承し、イングランド、スコットランド、アイルランドの三王国の爵位を全て保持するに至りました。彼はイートン校を経てオックスフォード大学に進学し、アルバート王太子（後のエドワード7世）のグループに属していましたが、目立った活躍はなかったとされています。

1864年には、第2代アングルシー侯爵の娘であるフローレンス・パジェットと結婚しました。しかし、フローレンスはヘンリーの大学時代の友人であるヘンリー・チャップリンと既に婚約しており、駆け落ち同然の結婚であったため、当時大きなスキャンダルとなりました。

ダービーでの敗北と悲劇的な死

侯爵の母バーバラはギャンブル好きで知られており、その影響でヘンリーも競馬に興味を持つようになりました。彼は競馬に大金を使い、馬の育成にも力を入れていましたが、莫大な資産があったため、当初は問題になりませんでした。

1867年のダービーでは、妻の元婚約者であるヘンリー・チャップリンが所有するハーミットという馬が不調であると判断し、ハーミットが負ける方に大金を賭けました。しかし、予想に反してハーミットが優勝し、侯爵は12万ポンドもの巨額の負債を背負うことになりました。彼は、翌年のダービーに自身の持ち馬であるレディ・エリザベスを出走させ、その優勝に望みを託しましたが、結果は惨敗でした。さらに、ブックメーカーの誘いに乗り、持ち馬のジ・アールを売却し、レディ・エリザベスに賭けたことも、彼の絶望を深めました。売却されたジ・アールは、その後のレースで3連勝を飾ったため、侯爵は精神的に大きな打撃を受けました。

失意の中、侯爵は友人に「ダービーでハーミットに負けて、私の心は打ち砕かれた」と語ったと伝えられています。そして、その翌年の1868年、わずか26歳という若さでこの世を去りました。

ヘイスティングズ侯爵夫妻には子供がいなかったため、父方に由来するヘイスティングズ侯爵位やモイラ伯爵位は廃絶しました。一方、女系継承を認めるラウドン伯爵位以下の３つのスコットランド貴族爵位は、彼の姉イーディスに相続されました。しかし、母方由来の6つのイングランド貴族爵位は、4人の姉妹間で優劣がつかず、停止という状態になりました。

ヘイスティングズ侯爵が保持していた栄典

1851年1月17日、兄ポーリンの死去に伴い、以下の爵位と準男爵位を継承しました。

第4代ヘイスティングズ侯爵
第9代ラウドン伯爵
第5代モイラ伯爵
第4代ロードン伯爵
第4代ラウドン子爵
第20代ボトリー男爵
第19代ハンガーフォード男爵
第17代ド・モリンズ男爵
第17代ヘイスティングズのヘイスティングズ男爵
第17代ハンガーフォードのヘイスティングズ男爵
第9代ラウダンのキャンベル卿
第9代タリネイン＝モホリン卿
第5代ダウン県におけるモイラのロードン男爵
第4代ヨーク州におけるロードンのロードン男爵
第8代(ダウン県モイラの)準男爵

1858年11月19日、母バーバラの死去に伴い、以下の爵位を継承しました。

第21代ルシンのグレイ男爵

まとめ

第4代ヘイスティングズ侯爵は、若くして多くの爵位を相続し、莫大な資産を誇る貴族でしたが、ギャンブルによって全てを失い、悲劇的な結末を迎えました。彼の生涯は、運命の不確かさと、ギャンブルの恐ろしさを物語っています。

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