ヘンリー・J・カイザー級給油艦

ヘンリー・J・カイザー級給油艦

ヘンリー・J・カイザー級給油艦（Henry J. Kaiser-class oiler）は、アメリカ海軍における重要な補給艦の一つです。この艦艇は、主に洋上での燃料補給や物資の輸送を目的として設計されています。ヘンリー・J・カイザー級は、先代のシマロン級を踏襲した基本的な艦体形状を持ち、艦橋が後部に配置されています。その艦尾にはヘリコプター甲板が設けられていますが、格納庫は設置されていないのが特徴です。

主機関と従来の艦との違い

この級の大きな特長の一つは、主機関にディーゼルエンジンが採用されていることです。実際、アメリカ海軍の補給艦として初めてのディーゼルエンジン搭載艦となります。前に就役したシリウス級戦闘給糧艦も、ディーゼルエンジンを主機として利用していますが、その艦は1960年代にイギリス海軍向けに建造され、後にアメリカ海軍が取得したものです。このため、ヘンリー・J・カイザー級は、近代的な設計とエンジン技術を取り入れた艦艇と言えるでしょう。

洋上補給の技術

給油ステーションは、右舷に3ヶ所、左舷に2ヶ所、合計で5ヶ所設置されています。これにより、洋上での効率的な燃料補給が可能となっています。加えて、ドライカーゴの輸送のために、両舷にはハイライン設備がそれぞれ1基ずつ備えられており、様々な物資を華麗に洋上で移送することができます。

物資の積載能力

ヘンリー・J・カイザー級給油艦が搭載できる物資は以下の通りです。

• - 貨油（艦艇燃料、航空燃料）: 最大180,000バレル（約28,618キロリットル）の燃料を搭載できます。ただし、特定の艦（パタクセント、ララミー、ラパハノック）は1990年の石油汚染防止法に基づいて二重船体が採用されたため、最大積載量は159,000バレル（約25,279キロリットル）となり、他の姉妹艦よりも約12%少なくなっています。
• - ドライカーゴ: 約690m³の物資を搭載可能です。
• - 冷蔵・冷凍コンテナ: 食料品運搬用に20フィートコンテナが8基設置できます。

同型艦の建造状況

当初、ヘンリー・J・カイザー級給油艦の建造はペンシルベニア造船所で行われる予定でしたが、契約が履行されなかったため、最終的にはアメリカン造船のタンパ造船所で建造されました。計画では18隻の整備が予定されていましたが、設計段階での問題や造船所の倒産により、5番艦と6番艦の建造がキャンセルされ、実際には16隻が完成しました。

他国の補給艦との比較

このヘンリー・J・カイザー級給油艦は、同時期に建造された他国の補給艦と比較すると、多様な補給能力を持ち、現代の海軍作戦において重要な役割を果たしています。例えば、フォート・ヴィクトリア級やパティーニョ級、エトナ級の補給艦など、他国の艦艇と並び立つ存在として位置づけられています。

このように、ヘンリー・J・カイザー級は、その設計、技術、運用能力において独自の地位を確立しており、アメリカ海軍にとって欠かせない存在となっています。

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