ヘンリー五世 (1989年の映画)

映画『ヘンリー五世』の概要

『ヘンリー五世』（Henry V）は、1989年に制作されたイギリス映画で、シェイクスピアの名作戯曲を元にケネス・ブラナーが監督し、主演も務めました。映画は、イングランド国王ヘンリー五世のフランス征服を目指す壮大な物語を描いています。

ストーリーの展開

物語は、ヘンリー五世がフランスの領土を自分のものと主張し、領土の返還を要求するところから始まります。しかし、フランスの皇太子から送られた使者が彼を嘲笑する品物を届けたことが、ヘンリーの怒りを引き起こします。彼は軍隊を編成し、フランスへの侵攻を決意するのです。

最初は6千の兵を率いたヘンリー五世でしたが、到着したときには悪天候に見舞われていました。開戦前の疲れた状態に加え、土砂降りの雨によって、イングランド軍は厳しい状況に直面します。一方、フランス側は10万人の大軍で迎え撃つ準備を始め、自国の圧倒的優位を信じて疑いませんでした。

開戦当日、ぬかるんだ地面が騎兵にとって致命傷となり、フランス軍はその重い鎧と滑りやすい地面によって動くことができず、惨敗を喫します。最終的に、イングランド軍は25人の犠牲者に対し、フランス側は1万人以上の死者を出すという奇跡的な勝利を手にしました。

キャストの魅力

本作には豪華なキャストが揃っています。ヘンリー5世を演じるケネス・ブラナーの力強い演技に加え、フランス王シャルル6世を演じるポール・スコフィールドや、フルーエリン役のイアン・ホルム、さらにはジュディ・デンチ、エマ・トンプソンといった名優たちが脇を固めています。特にデレク・ジャコビの語り手としての存在感は、物語に深みを与えています。

音楽と戦闘シーン

音楽はパトリック・ドイルが担当し、サイモン・ラトル指揮のバーミンガム市交響楽団による公開録音が行われました。映画の中には、ドイル自身が出演し、アジャンクールの戦いの後に兵士たちが聖歌を歌う場面での初めの歌声を担当しています。この点が映画にさらなる感情的な層を加えています。

史実との対比

映画は、実際の歴史的な出来事を基にしていますが、描写にはいくつかの違いがあります。実際のヘンリー五世の戦いにおいて、イギリス側の死者は500人を超え、フランス側は約7000人の死者を出したとされているため、映画上の圧倒的勝利は脚色されていることがわかります。

関連作品

この作品は、ローレンス・オリヴィエが監督・主演した1944年の映画『ヘンリィ五世』とも比較され、シェイクスピア作品の映画化における重要な名作とされています。映画の中の力強い表現と、壮大な戦闘シーンは観客に深い印象を残し、多くの人々に愛され続けています。

もう一度検索