ヘンリー六世 第2部

『ヘンリー六世 第2部』

ウィリアム・シェイクスピアによる『ヘンリー六世 第2部』は、1590年から1591年頃に書かれた歴史劇であり、シェイクスピアの『ヘンリー六世』三部作の中で中心となる第2作です。この作品は、イングランドの王位を巡る権力闘争を描いており、シェイクスピアの劇作家としての名声を確立しました。薔薇戦争をテーマにしたこの作品は、英語文学の中でも重要な位置を占めています。

材源と創作背景

シェイクスピアのこの劇の主要な素材は、ラファエル・ホリンシェッドの『年代記』やエドワード・ホールの『ランカスター、ヨーク両名家の統一』から採られています。これらの文献は、物語に方向性を与える重要な役割を果たしました。他にも、サミュエル・ダニエルの詩などからの影響も考えられています。特に、1592年3月には、ストレンジ卿一座による上演が記録されており、同時期に他の『ヘンリー六世』の作品も上演されたと思われます。

出版された初版は、1594年に書籍商トーマス・ミリングトンの手によって出され、「ヨーク、ランカスター両名家の争い 第1部」という名前で広まります。この立場は19世紀にはシェイクスピア以外の作家によって書かれたものだと考えられましたが、現代の批評家たちは、シェイクスピア自身が原作に大きく関与していたと見ています。

登場人物と物語

物語はイングランド王ヘンリー六世とマーガレット・オブ・アンジューの結婚式から始まります。マーガレットはサフォーク公を通じて王に影響を及ぼそうとする複雑な関係を持っているのです。王の叔父であるグロスター公ハンフリーは国民に人気があり、王妃マーガレットとその叔母エリナーの競争が劇を通じて焦点となります。

第二幕では、ヨーク公リチャードがサポートを求め、彼の王位への正統性を明らかにしながら、勢力を拡大していきます。第三幕では、反逆罪でグロスター公が逮捕され、サフォーク公が暗殺を狙いますが、その計画は失敗し、サフォーク公は追放されます。

第4幕において悪霊の予言が現実のものとなり、サフォーク公は海賊によって命を落とします。王妃マーガレットはその遺体を抱え、心を痛める描写が印象的です。最終幕では、ヨーク公が軍を引き連れ戻るものの、混乱した状況の中で戦闘が続き、物語は『第3部』へと続く流れを作ります。

上演と影響

『ヘンリー六世 第2部』は1592年以降、しばらく公演されることはありませんでした。しかし、王政復古期には改訂版が上演され、20世紀以降にふたたび脚光を浴びます。特に、BBCによる映画化は多くの人々にこの作品の魅力を再認識させる契機となりました。

このように、シェイクスピアの『ヘンリー六世 第2部』は、時代を超えて多くの観客に親しまれ、権力、陰謀、裏切りといったテーマが数世代にわたり受け継がれています。

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