ヘンリー3世 (イングランド王)

ヘンリー3世の治世と生涯

イングランド王ヘンリー3世（Henry III、1207年10月1日 - 1272年11月16日）は、プランタジネット朝の一員として1216年から1272年まで王位にありました。彼は前王ジョンと王妃イザベラ・オブ・アングレームの子であり、妻はプロヴァンス伯レーモン・ベランジェ4世の娘、エリナー・オブ・プロヴァンスです。彼の治世は50年以上に及ぶものでしたが、その間の業績は決して際立ってはいませんでした。ただし、この時代は国王裁判所が活動を活発化させ、コモン・ローの発展が見られた時期でもあると評価されています。

幼少期と即位

ヘンリー3世は1216年に王位に就いた際、わずか9歳でした。父の死により彼は即位し、第一次バロン戦争の最中でありました。この時、フランス王太子ルイ（のちのルイ8世）がロンドンを占領しており、初めは王政を廃止する意図のなかった反乱諸侯たちは、マグナ・カルタに基づく合議制が確立されれば満足でした。摂政たちはマグナ・カルタを承認したため、ヘンリー3世は一定の支持を得ることができました。1227年からは親政を始めることができました。

フランスとの抗争

1240年代にはフランスとの関係が注目されます。ルイ9世が12歳で王位に就き、フランスの脅威が減少する中、ヘンリー3世は父が失ったフランスの領土を取り戻そうと試みましたが、1229年の攻撃は失敗に終わりました。その後、ルイ9世の妹であるエリナーと結婚し、婚姻を通じて関係が進展します。1242年には母や再婚相手に誘われてポワチエに侵攻しましたが、逆にアキテーヌ地方を侵略され、窮地に立たされました。最終的に、条約を結ぶことで一定の領土を確保しましたが、フランスとの関係は依然として複雑でした。

内政と外政

ヘンリー3世は、母方の親族やフランスからの側近たちを重用しましたが、これがイングランドの諸侯との対立を生む原因となりました。外国人側近が追放される一方で、彼らが再び呼び戻されるという事態が繰り返されました。1250年にはローマ教皇との対立の中で、イングランドの外交方針が試されましたが、数々の計画は実現しませんでした。

諸侯の反乱と最期

1258年、苛酷な財政政策や外国人重用への反発から、レスター伯シモン・ド・モンフォールのもとに諸侯が結束し、国王権限の制限を求めました。ヘンリー3世はオックスフォード条項を承認しましたが、その後、約束を破り再び権限を取り戻そうとしました。これに対して、第2次バロン戦争が勃発し、1264年には大敗を喫し捕らえられました。翌年、反乱軍は正式に下された条項を受け入れさせますが、再び彼の支持を受けた諸侯たちによって、1265年にはシモン・ド・モンフォールが敗北します。

家族と子女

ヘンリー3世は、エリナーとの間にエドワード1世やスコットランド王妃となるマーガレットなど、子供たちをもうけました。この家族のつながりは、後のイングランドとスコットランドの関係に影響を与えました。

1272年、ヘンリー3世は崩御し、その後はエドワード1世が王位を継承しました。彼の治世は多くの教訓を残し、以降のイングランドにおける政治的対話の基盤を築くこととなりました。

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