シモン・ド・モンフォール

シモン・ド・モンフォール：イングランド議会政治の先駆者

シモン・ド・モンフォール（1208年 - 1265年）は、中世イングランドの貴族であり、第6代レスター伯として知られています。彼は、イングランドの議会制度の基礎を築いた人物として、歴史に名を刻んでいます。当初はヘンリー3世の寵臣として重用されましたが、後に国王と対立し、不当な権力に反抗する闘士として、イングランドでは英雄視されています。

生涯

シモンの父は、アルビジョア十字軍で活躍した同名のシモン・ド・モンフォール（第5代レスター伯）です。シモンは、祖母から受け継いだ権利によってレスター伯となり、イングランドに渡りました。当初、ヘンリー3世はシモンを重用し、妹のエリナーを妻として与えるほどでしたが、1248年にフランスのガスコーニュにおける統治の失敗が原因で、両者の関係は悪化しました。

1258年4月、ヘンリー3世はシチリア遠征の費用を調達するために、諸侯の同意を求める必要に迫られました。これに対し、シモンを含む7人の有力貴族は、徴税への協力と引き換えに、政治改革を要求しました。翌1259年にもシモンは改革を推進しましたが、王や保守派の反撃に遭い、1261年には力を失ってフランスへ退去しました。しかし、シモンが帰国すると国内は再び混乱し、1264年5月のリュイスの戦いで、シモン率いる軍勢が国王軍に圧勝しました。ヘンリー3世を捕縛したシモンは、イングランドの諸侯、騎士、都市の代表を集め、「シモン・ド・モンフォールの議会」を召集し、国民の幅広い支持を得ることに成功しました。

しかし、シモンの勢力は孤立を深め、王太子エドワードの反撃を受けました。1265年、イーヴシャムの戦いで、シモンは長男ヘンリーと共に戦死しました。これにより、レスター伯と前年に創設されたチェスター伯の称号は剥奪されました。

家族

1238年1月7日、シモンはヘンリー3世の妹エリナー・オブ・レスターと秘密結婚し、以下の子供たちをもうけました。

ヘンリー・ド・モンフォール（1238年 – 1265年）：五港長官、戦死。
シモン6世・ド・モンフォール（1240年 – 1271年）。
アモーリー・ド・モンフォール（1242年/1243年 – 1301年）：聖職者。
ギー・ド・モンフォール（1244年 – 1291年）：ノラ伯。
ジャンヌ・ド・モンフォール：夭折。
リシャール・ド・モンフォール（1252年 – 1266年）。
エリナー・ド・モンフォール（1258年 – 1282年）：ウェールズ公ルウェリン・アプ・グリフィズと結婚、子供あり。

シモン・ド・モンフォールは、その生涯を通じて、イングランドの政治改革に大きな影響を与えました。彼の議会は、後の議会制度のモデルとなり、彼の不屈の精神は、今日でも多くの人々に感銘を与えています。

参考文献

城戸毅 著「王権と諸侯――イングランド身分制国家の形成」、青山吉信 編『イギリス史1 先史～中世』山川出版社〈世界歴史大系〉、1991年。ISBN 978-4-634-46010-2。

関連文献

* Davis, Henry William Carless (1911). "Montfort, Simon de". In Chisholm, Hugh (ed.). Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 18 (11th ed.). Cambridge University Press. pp. 781–782.

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