ベア・ブライアント

ポール・“ベア”・ブライアント：カレッジフットボール界の伝説

ポール・ウィリアム・“ベア”・ブライアント（Paul William "Bear" Bryant、1913年9月11日 - 1983年1月26日）は、アメリカンフットボールの指導者であり、「ベア」の愛称で広く知られています。彼はカレッジフットボール史上最高のヘッドコーチの一人として、その名を歴史に刻んでいます。

生い立ちと選手時代

1913年、アーカンソー州フォーダイスで12人兄弟の11番目として生まれたブライアントは、1931年9月に名門アラバマ大学に入学。同大学のフットボール部「クリムゾンタイド」で選手として活躍しました。1934年シーズンには、チームはレギュラーシーズンを9戦全勝で終え、ローズボウルでスタンフォード大学を破り、見事全米チャンピオンに輝きました。1935年に大学を卒業しています。

1936年のNFLドラフトでは、4巡31位でブルックリン・ドジャースから指名を受けましたが、プロの舞台でプレーすることはありませんでした。

指導者としてのキャリア

1945年、メリーランド大学でヘッドコーチとしてのキャリアをスタートさせたブライアントは、その後、ケンタッキー大学、テキサスA&M大学を経て、1958年に母校アラバマ大学のヘッドコーチに就任しました。

アラバマ大学では、ジョー・ネイマス、ケン・ステイブラー、オジー・ニューサム、ジョン・ハナといった、後にNFLで活躍し、プロフットボール殿堂入りを果たす名選手たちを数多く育て上げました。

1981年11月28日には、オーバーン大学を破り、エイモス・アロンゾ・スタッグが保持していたカレッジフットボールの通算勝利記録を更新し、その名をさらに高めました。

アラバマ大学を率いて6度の全米チャンピオンに輝いたブライアント。これはカレッジフットボールの監督として歴代最多の獲得数です。また、長きにわたり、NCAAディビジョンIAの大学チームにおける監督勝利数323勝は当時の歴代1位でした（2024年時点ではボビー・ボウデンの377勝に次いで歴代2位）。

その死と遺産

1983年1月26日、ブライアントはアラバマ州タスカルーサ市の病院で心臓発作により急逝しました。アラバマ大学フットボール部の監督を勇退してわずか1週間後のことでした。彼の墓は、アラバマ州バーミングハム市の墓地にあります。ブライアントはカレッジフットボール殿堂入りを果たしており、その死に際しては、ロナルド・レーガン大統領が弔意を表し、大統領自由勲章が授与されました。

2001年には、ジョー・パターノによって通算勝利記録は更新されましたが、後にパターノがペンシルベニア州立大学ニタニー・ライオンズ監督時代に起きたアシスタントコーチの児童性的虐待事件における隠蔽工作が発覚。NCAAによる制裁措置として111勝が抹消されたため、パターノの通算勝利数は298勝に訂正されました。これにより、ブライアントの通算勝利数323勝は再び歴代2位となっています。

ブライアントの功績は、単に勝利数だけではありません。彼は、選手たちの人生に深く影響を与え、彼らを偉大な人物へと成長させました。彼のリーダーシップ、情熱、そして勝利への飽くなき追求は、多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

著書

『ウイニング･フットボール』翻訳:後藤完夫

関連項目

レイ・パーキンス
フォレスト・ガンプ/一期一会|フォレスト・ガンプ_一期一会

外部リンク

Paul W. Bryant Museum
* Bear Bryant - Find a Grave（英語）

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