後藤完夫

後藤完夫：日本アメフト界の先駆者

後藤完夫（ごとう さだお）は、1943年2月1日、東京都に生まれ、2018年4月9日に75歳で没したスポーツジャーナリスト、アメリカンフットボール解説者です。彼は、出版社タッチダウン社主として、また日本タッチ・アンド・フラッグフットボール協会会長として、日本におけるアメリカンフットボールの普及と発展に尽力しました。

アメフトとの出会いと情熱

後藤は慶應義塾高等学校時代にアメフトを始め、慶應義塾大学でも続けました。大学時代には日本学生選抜としてハワイ遠征に参加し、ハワイ大学と対戦。ランニングバックとして活躍し、日本選抜ヘッドコーチも務めました。大学卒業後は企業に就職しましたが、アメフトへの情熱を捨てきれず、日本でその魅力を広めるために雑誌創刊を決意します。

アメフト専門誌『TOUCHDOWN』の創刊

後藤は仕事をしながら、夕方以降に編集作業を行い、週末には試合を観戦するという多忙な日々を送りました。そして1970年9月、アメフト専門雑誌『TOUCHDOWN』を創刊。当初は口コミによる通信販売でしたが、内容に満足できず、創刊号は酷評されることもありました。1971年には結核で入院し休職を余儀なくされますが、復職後の1974年7月に会社を退社し、スポーツ出版社を設立。同年9月からは『TOUCHDOWN』を隔月で発刊しました。

NFLブームの到来と後藤の活躍

1974年には、東京オリンピック金メダリストのボブ・ヘイズが来日し、アメフトへの関心が高まりました。同年から日本教育テレビで始まったNFL番組『全米フットボール』の解説を担当し、1976年のアメリカ合衆国建国200周年を機に第一次NFLブームが起こります。1977年にはスーパーボウルの取材をアメリカ以外のメディアとして初めて認められ、その後もNFL中継の解説やNFL倶楽部への出演など、多岐にわたる活動でアメフトの魅力を伝えました。

多様な活動と著書

後藤は1979年に総合スポーツ雑誌「monthly sports」を創刊し、第二次NFLブームが起こった1989年には『TOUCHDOWN』からNFL専門誌『TOUCHDOWN NFL』を創刊しました。また、1997年には映画「デボラがライバル」にアメフト解説者役で出演しています。彼は執筆活動も精力的に行い、『フットボール専科』、『スーパーボウル』など、アメフトに関する多くの著書を出版しました。また、『アメフットスキル＆ドリル入門』など、翻訳も手掛けています。

人柄が偲ばれるエピソード

慶應義塾大学時代には、経済学者の栗本慎一郎と生物学の講義でペアになり、腕を骨折していた後藤の代わりに栗本がミミズの解剖を行い、レポートも作成したというエピソードが残っています。このエピソードからも、後藤の人柄が偲ばれます。

後藤完夫は、日本におけるアメリカンフットボールの普及と発展に生涯を捧げた人物でした。彼の情熱と努力は、多くの人々にアメフトの魅力を伝え、日本のスポーツ界に大きな足跡を残しました。

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