ベイルート・アメリカン大学

ベイルート・アメリカン大学（AUB）

ベイルート・アメリカン大学（American University of Beirut, AUB）は、レバノンの首都ベイルートに位置する、中東地域で最も権威のある私立大学の一つです。1866年にアメリカの宣教師団によって設立され、当初はシリアン・プロテスタント・カレッジ（Syrian Protestant College）として開校しました。その後、1920年11月18日に現在の名称であるベイルート・アメリカン大学に改称されました。

歴史

AUBの創設は、中東における近代的な高等教育の普及を目指したアメリカの宣教師たちの活動に端を発します。初代学長であるダニエル・ブリス（Dr. Daniel Bliss）をはじめとする宣教師たちは、この地域における教育の必要性を強く感じ、宗派にとらわれない教育機関の設立を計画しました。当初は小さなカレッジとしてスタートしましたが、徐々にその規模と教育内容を拡大し、中東地域における主要な大学としての地位を確立しました。

教育と研究

AUBは、人文[[科学]]、医学、工学、農学、ビジネスなど、多岐にわたる学部と学科を擁しています。特に医学部や工学部は、中東地域で高い評価を受けています。大学は、教育だけでなく研究活動にも力を入れており、地域社会の発展に貢献しています。

主な学部

農学・食品科学部 (FAFS)
芸術科学部 (FAS)
工学・建築学部 (FEA)
健康科学部 (FHS)
医学部 (FM)
スレイマン・S・オレイヤン・ビジネススクール (OSB)

キャンパス

AUBのキャンパスは、ベイルートの地中海を見下ろす丘の上に位置し、広大な73エーカーの敷地を誇ります。キャンパス内には、歴史的な建物と近代的な施設が調和しており、学生たちが快適に学習できる環境が整備されています。また、大学の反対側にはブラス通り（Bliss Street）があり、多くのレストランやカフェが集まっています。

さらに、農学・食品科学部の研究施設として、ベッカー渓谷に247エーカーの研究用農地と施設（AREC）を有しています。

キャンパスの主な門

メイン・ゲート（Bliss Street側）
メディカル・ゲート（アメリカン大学病院近く）
シー・ゲート（丘の麓に位置）

卒業生

1870年6月から2002年末までに、AUBは66,107人以上の卒業生を輩出しており、中東各地からの学生が集まる国際的な大学として、世界中に優秀な人材を送り出しています。卒業生は、政治、経済、文化、学術など、様々な分野で活躍しています。

著名な卒業生（一部）

政治

サーイブ・サラーム（元レバノン首相）
サリーム・アル＝フッス（元レバノン首相）
ナジーブ・ミーカーティー（元レバノン首相）
フアード・シニオラ（元レバノン首相）
ファーリス・アル＝フーリー（元シリア首相）
アデル・アセイラン（元レバノン議会スポークスマン）
コンスタンティン・ズレイク（アラブ思想家）
サアドゥーン・ハンマーディー（元イラク首相）
サラーム・ファイヤード（元パレスチナ首相）
アブドゥッラー・アン＝ヌスール（元ヨルダン首相）
アリー・アクバル・サーレヒー（元イラン外相）
アシュラフ・ガニー（元アフガニスタン大統領）
ザヒヤ・ザリール（モルディブの教育大臣、保健大臣、高等弁務官）
アントーン・サアーダ（アラブ思想家、シリア社会国民党創設者）
ハナーン・アシュラーウィー（元パレスチナ解放機構（PLO）議長）
アブドッラフマーン・アッ＝シャフバンダル（反フランス運動家）
ナーズィム・アル＝クドゥスィー（元シリア大統領）

文化

フィリップ・S・クーリー（マサチューセッツ工科[[大学]] (MIT) 人文・科学学部長）
ランダ・バッセム・セルハン（社会学者）
オマル・アブ・リシェ（シリアの詩人）
ガダ・アル＝サマン（小説家）
ザハ・ハディド（建築家）
重信メイ（ジャーナリスト）

国際連合との関わり

1945年、国際連合創設時には、AUBの学生がシリア代表団として派遣され、そのうち19人の卒業生が国際連合の創設に貢献しました。これは、AUBが国際的な舞台でも重要な役割を果たしていることを示しています。

外部リンク

ベイルート・アメリカン大学
AUB Medical Center
Issam Fares Institute for Public Policy
Center for American Studies and Research
* AUB Accreditation

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