ベザーノ

イタリア共和国北部に位置するロンバルディア州、そのヴァレーゼ県にある基礎自治体（コムーネ）がベザーノです。人口はおよそ2,500人ほどの穏やかな町ですが、地質学的に非常に重要な場所として知られ、特に古生物学の分野で注目されています。三畳紀（約2億5200万年前から約2億100万年前）の爬虫類化石が豊富に産出する地域であり、近隣のサン・ジョルジョ山と共にユネスコ世界遺産にも登録されています。

地理

ベザーノはヴァレーゼ県の北東部に位置しています。地理的には、県都ヴァレーゼから北東へ約9km、スイスのルガーノから南南西へ約14kmなど、周辺の主要都市から一定の距離にあります。東側はスイスとの国境線が走り、国境を越えたティチーノ州のメンドリージオと隣接しています。また、北東方向にはルガーノ湖畔の町であるポルト・チェレージオがあります。その他、ヴィッジュ、ビズスキオ、クアッソ・アル・モンテといったイタリアのコムーネとも境界を接しています。

町の主要な交通網としては、ヴァレーゼとポルト・チェレージオを経由してスイス国境に至る国道344号線が挙げられます。この国道はコムーネ内を南西から北東へと貫いています。イタリア国内の地震リスク階級においては「4」に位置づけられています。

ベザーノのコムーネ内にはいくつかの分離集落（フラツィオーネ）が含まれており、以下のような集落が存在します。

- Belvedere
- Bernasca
- M.o. Ginaga
- Monte San Martino
- Novella

名称と歴史

町の名の由来については、いくつかの説が語り継がれています。一つは、古代ローマの将軍ベッソの墓が存在したことに由来するという説、もう一つは、かつて年に二度（ラテン語でbis in anno）市場が開かれていたことにちなむという説です。

歴史を振り返ると、中世のベザーノは近隣のアルチザーテの荘園の一部を構成していました。その後、1647年には当時のミラノ公でもあったスペイン王フェリペ4世の直轄領となりました。近代に入ってからは行政区画の変更も経験しており、1928年に一時的にポルト・チェレージオのコムーネに編入されましたが、1958年には再び独立した基礎自治体として分離されました。

化石と世界遺産

ベザーノが国際的に知られるようになった最大の理由は、その豊富な化石資源です。特に中部三畳紀の地層である「ベザーノ層」からは、19世紀半ば以来、多くの古代爬虫類の化石が発見されてきました。ここで見つかった魚竜の一種は、町の名にちなんで「ベザノサウルス（Besanosaurus）」と命名され、この地域の地質学的・古生物学的重要性を示す象徴となっています。

町のすぐ北東に位置するスイス領のサン・ジョルジョ山は、古くから化石の主要産地として知られ、2003年にユネスコ世界遺産（自然遺産）に登録されました。そして2010年には、地質学的に連続しており、同様に重要な化石産地であるベザーノの地域も世界遺産の範囲として追加登録され、その価値が改めて世界に認められました。

姉妹都市交流

ベザーノは、遠く離れた日本の宮城県南三陸町（旧歌津町）と姉妹都市提携を結んでいます。この提携は1999年11月7日に締結されました。この珍しい縁のきっかけとなったのは、双方の地域で同じく三畳紀の魚竜化石が発見されたことでした（歌津町ではウタツサウルス）。1995年以降、両町の中学生による国際交流が活発に行われ、1997年に歌津町で開催された「国際魚竜化石サミット」の際には、正式な国際友好都市提携盟約書が交わされるに至りました。化石という共通のテーマを通じて、国境を越えたユニークな交流が続けられています。

その他の情報

著名な出身者には、プロの自転車競技選手として活躍したステファノ・ガルゼッリがいます。町の主要な交通路として国道SS344が挙げられます。

これらの特徴を持つベザーノは、小さな町ながらも、豊かな自然環境と、古生物学的に貴重な遺産、そして国際的な交流を持つユニークな場所と言えるでしょう。

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