ベスパ 150 TAP

ベスパ 150 TAP: ユニークな戦闘用スクーター

ベスパ 150 TAPは、1950年代にフランスで開発された特異な性格を持つ戦闘車両です。この車両は、イタリアのピアッジオ社が製造したスクーター「ベスパ 150」に、米国のM20 75mm無反動砲を装備したものです。空挺部隊専用の即製戦闘車両として設計され、軽快ながらも実戦での有用性が高い特徴を持っています。

「TAP」の名称は、フランス語で「空挺部隊」を意味する「Troupe aéroportée」の頭文字を取ったものです。また、この車両の形状から「バスーカ・ベスパ」とも呼ばれ、特徴的なデザインが注目を集めました。

製造と構造

ベスパ 150 TAPは、1956年から製造が開始され、1959年に改良型が登場しました。製造を担当したのは、当時フランスでベスパのライセンス生産を行っていた企業、Ateliers de Construction de Motocycles et Automobiles（ACMA）です。この車両の設計には、強化されたベスパのフレームが使用され、そこに75mmの無反動砲を斜めに取り付けてあります。砲は、座席部分から風除け部分にかけて装備され、風除けの一部は切り欠かれています。

座席下には砲弾の装填部分があり、さらに座席の両側に予備の弾薬を搭載することができます。軽量な75mm無反動砲は、成形炸薬弾を使用することにより約100mmの装甲を貫通できる能力を持っており、戦場での高い効果を発揮します。

運用方法

ベスパ 150 TAPは、2名の空挺兵と共に空中投下され、2台を組で運用します。1台には無反動砲を装填し、もう1台には弾薬を搭載する形です。しかし、砲を装着したままでの状態では照準を合わせることが難しく、そのために無反動砲用の三脚も一緒に搭載されます。これにより、砲を三脚に載せ換えて照準を合わせることが可能です。また、砲をベスパに装着した状態で発射することも可能ですが、当然ながら走行しながらの発射は不可能です。

結果と現存

約500両が製造されたベスパ 150 TAPは、非常に低コストの兵器として評価されました。その特異な設計と機能から、今でも注目される存在です。現存する車両はフランスのソミュール戦車博物館で展示されており、歴史的な軍用車両としての価値が高いとされています。

このユニークな戦闘用スクーターは、軽量で機動性が高く、特に空挺部隊にとっては重要な装備となりました。ベスパ 150 TAPは、その特異な形態と機能から、歴史的に重要な役割を果たした兵器として記憶されています。

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