M20 75mm無反動砲

M20 75mm無反動砲の概要

M20 75mm無反動砲（英: M20 75mm recoilless rifle）は、アメリカ合衆国によって開発された無反動砲であり、その設計は主に第二次世界大戦の戦場でのニーズに応じて行われました。無反動砲は、従来の砲と異なり、発射時に生じる反動を軽減する技術を用いており、これにより運搬や設置の柔軟性が増しています。この砲は、コンパクトでありながら強力な火力を提供し、特に歩兵部隊にとって重要な対装甲能力を強化することを目指しました。

開発の背景

無反動砲の開発は、アメリカが1906年にデイビス砲で成功を収めたことが始まりですが、長い間その後の開発は停滞していました。1930年代にはドイツのクルップ社が無反動砲に注目し、LG40 7.5cm無反動砲を開発。この砲はクレタ島侵攻作戦で使用され、高評価を得ました。しかし、第二次世界大戦中の進化する装甲技術により、歩兵の対装甲能力は脆弱になり、新しい対装甲兵器の必要性が高まりました。

1943年、アメリカ軍は北アフリカ戦線でドイツのLG40を鹵獲し、それを基に新たな105mmおよび155mmの無反動砲の設計に着手しました。この開発プロジェクトは比較的短期間で完了し、さらにイギリスが開発した「バーニー砲」の技術も取り入れられました。これにより、アメリカは無反動砲の利点を生かした兵器を手に入れました。

構造と運用

M20は、クロムスキット方式という独自の設計を採用し、軽量で反動がほとんどない特性を持っています。砲架にはブローニングM1917重機関銃の三脚を流用し、ジープに搭載することも可能です。このような軽量化により、他国への供与の際にも様々な目的で利用されました。特にフランスでは、1956年にベスパにこの無反動砲を装備した即製戦闘車両が開発されました。

1944年には初期試作モデルがテストされ、1945年3月には量産モデルのT21E12として制式採用されることになります。M20は、主にヨーロッパおよび太平洋の戦場で実戦投入されましたが、戦争終結が近づくにつれてその使用は限られたものになりました。特に沖縄戦では運用されたものの、配備数が不十分であったため、その効果は限定的でした。

戦後の運用と退役

戦後もM20は歩兵大隊の無反動砲小隊に配備され、朝鮮戦争でも運用されましたが、北朝鮮のT-34戦車に対して十分な対抗力を発揮することはできませんでした。他の大口径無反動砲や対戦車ミサイルに取って代わられ、退役が進みました。それでも、ベトナム戦争中には特定の部隊での使用が続き、1990年代にはアメリカ国内で特定の目的で運用が続けられたという事実があります。

日本と他国の運用

日本においても、1951年から自衛隊にM20が供与され、対戦車ミサイルへの置き換えが進む1970年代には予備装備として残されていました。これに加えて、中華民国や中華人民共和国でもそれぞれの改良型が生産され、長期間にわたって使用され続けました。

主な仕様

• - 種別: 無反動砲
• - 口径: 75mm
• - 重量: 51.9kg（砲本体）
• - 有効射程: 約900m（移動目標）、約1,350m（固定目標）
• - 発射速度: 10発/分

映画や文化における登場

M20は映画でも注目を集めており、特に『大怪獣バラン』や『地球防衛軍』などでは陸上自衛隊の全面協力のもとで実際に使用されました。これにより、 M20はその知名度を高めました。

このように、M20 75mm無反動砲は歴史的にも技術的にも重要な役割を果たし、数々の国々でその運用が続けられてきました。

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