ベッツィ・キング

ベッツィ・キング（Betsy King）は、1955年8月13日にペンシルベニア州レディングで生まれたアメリカ合衆国の女子プロゴルファーです。1977年から本格的にLPGAツアーに参戦し、約四半世紀にわたる現役生活で、メジャー大会での6勝を含む輝かしい通算34勝を積み重ねました。

彼女のゴルフキャリアは、ファーマン大学在学中にチームメイトのベス・ダニエルらと共にゴルフ部で腕を磨いたことから始まります。アマチュアとして卓越した才能を示し、1976年の全米女子オープンでは、アマチュア選手の中で最も優れた成績を収めるローアマチュアの栄誉に輝きました。この実績を引っ提げ、翌1977年にプロへ転向し、LPGAツアーの世界へ飛び込みました。

プロ入り後しばらくは勝利から遠ざかりますが、1984年のウィメンズケンパーオープンで待望のツアー初優勝を飾ります。この年はさらに2勝を加え計3勝を挙げたほか、出場21試合でトップ10入りを果たすなど抜群の安定感を示し、年間最優秀選手であるLPGAプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに選出されるという、飛躍の年となりました。この1984年から1989年にかけて、彼女はLPGAツアーで実に20勝を挙げるなど、ツアー屈指の存在へと駆け上がります。

キングの強さの特筆すべき点は、その継続性です。1984年の初優勝以降、実に10年間にわたり、毎年欠かさずツアータイトルを獲得し続けました。特に1989年には年間6勝を挙げるなど、その絶頂期を象徴する活躍を見せました。また、LPGAツアーの賞金ランキングにおいても、1985年から1995年にかけて11年連続でトップ10入りを達成し、1997年にも再び上位に返り咲くなど、常にトップ選手としての地位を維持しました。

彼女は、LPGAプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに3回、年間最少平均スコアを表すベアトロフィーを2回、そして賞金女王のタイトルにも3回輝いています。特に1993年は、年間優勝はわずか1勝に留まったものの、メジャー大会で2度を含む5試合で惜しくも2位となるなど抜群の安定感を示し、結果としてベアトロフィーと自身3度目となる賞金女王のタイトルを獲得するという、非常に印象的なシーズンとなりました。

キャリアを通じて獲得した6つのメジャータイトルは、1987年から1992年にかけてコンスタントに積み重ねられたものであり、彼女の長期にわたる高い実力を証明しています。そして1997年、自身6度目となるメジャー制覇を果たしました。LPGAツアーにおける最後の勝利は、通算34勝目となる2001年のショップライトLPGAクラシックでした。キャリア通算30勝目を達成した1995年、彼女は世界ゴルフ殿堂入りの栄誉に輝き、ゴルフ史にその名を刻みました。

ゴルフのキャリアと並行して、キングは慈善活動にも熱心に取り組みました。1994年から2004年まで、自身の名前を冠したホスト大会を開催し、慈善事業への貢献も行いました。特に、貧困層向けの住宅建設を支援する非営利団体ハビタット・フォー・ヒューマニティ・インターナショナル（HFHI）の活動に深く関わり、また旧ソビエト連邦諸国では孤児救済にも尽力するなど、世界中で恵まれない人々のために活動しました。

国際舞台では、アメリカ代表として女子ゴルフの対抗戦であるソルハイムカップに5回出場しました。2007年には主将としてチームを率い、スウェーデンで開催された大会で見事にヨーロッパチームを下し、アメリカチームを勝利に導く手腕も見せました。

キングのキャリア後半以降、LPGAツアーの賞金女王は国際的な選手が続く時代が訪れました。ローラ・デービース、アニカ・ソレンスタム、カリー・ウェッブ、ロレーナ・オチョア、そして韓国勢やヤニ・ツェンといった選手たちがその頂点を占めました。実際、2013年のシーズン終了時点まで、キングは長らく最後のアメリカ人賞金女王としてその名が挙げられていました。しかし、その状況は2014年にステイシー・ルイスが賞金女王を獲得したことで変わり、彼女が21年ぶりにアメリカ勢としてその栄冠を取り戻しました。

ベッツィ・キングは、LPGAツアーにおける長期間にわたる勝利と安定した成績、そしてゴルフ界内外での貢献により、女子ゴルフ史における偉大な選手の一人として記憶されています。

もう一度検索