ベッドの下の男

ベッドの下の男

「ベッドの下の男」は、アメリカ発祥の都市伝説の一つで、「下男」「ベッドの下の通り魔」「ベッドの下の斧男」など、様々な名前で語られています。

あらすじ

物語の典型的なパターンはこうです。一人暮らしの女性宅に友人が遊びに来ます。部屋にベッドが一つしかないため、女性はベッドで、友人は床に布団を敷いて寝ることに。夜、寝ようとした時、友人が突然、女性を外に連れ出そうとします。しつこく誘う友人に、女性が理由を尋ねると、友人は血相を変えて「ベッドの下に包丁を持った男がうずくまっている」と告げるのです。

バリエーション

この都市伝説には、様々なバリエーションが存在します。登場人物の関係性が友人であったり、姉妹であったり、あるいは大勢の友人であったり。男が持っている凶器も、包丁だけでなく斧や鎌であったりします。また、男が隠れている場所も、ベッドの下だけでなく、クローゼットや押し入れの中である場合もあります。舞台設定も、海外のホテルや山中のペンションなど、様々に変化します。

発祥と伝播

アメリカ発祥の都市伝説ですが、日本にも伝わっており、1994年には女子短大生の間で既に浸透していました。1998年には、20代のOLが自身の体験談として同様の話を雑誌に投稿しています。ただし、ノンフィクション作家の宇佐和通は、ラブホテルのベッドの下に女が潜んでいたという読者投稿について、都市伝説を知った人がアレンジして投稿したものと推測しています。

映画『ラストサマー』が元ネタという説もありますが、アメリカでは以前から同様の話が存在していたため、『ラストサマー』がその話を利用したと考えるのが自然でしょう。1912年には、アメリカで『ベッドの下の男』という同名の映画が制作されています。ヨーロッパにも類似の都市伝説があり、ホテルで寝タバコをした男性が、ベッドの下から伸びてきた手にタバコを揉み消されるのを目撃し、難を逃れたという話があります。

映像化

この都市伝説は、テレビ朝日の深夜ドラマ『ココだけの話』や『渋谷怪談』で映像化されています。また、2011年には、日本テレビのドラマ「新あなたの知らない世界」で、「偽の警察官」と共に題材として扱われました。

日本の類似説話

鎌倉時代の説話集『古今著聞集』には、旅人が空き家に泊まった際、鬼が潜んでいることに気づき、難を逃れるという類似の説話があります。妖怪研究家の山口敏太郎は、このことから、都市伝説の発祥地がアメリカとは断言できないと指摘しています。

現実の事件

都市伝説だけでなく、現実にも類似の事件が発生しています。

2001年、東京都中野区で、女子大生の部屋にストーカーの男が留守中に侵入し、ベッドの下に隠れて逮捕されました。
2020年、徳島県鳴門市で、30代女性が帰宅したところ、ベッドの下から人の息遣いが聞こえ、友人の家に避難。住居侵入の現行犯で男が逮捕されました。
* 2024年、北海道帯広市で、20代女性の部屋に侵入した男が、ベッドの下に隠れているのを発見され、逮捕されました。

このように、「ベッドの下の男」は、単なる都市伝説としてだけでなく、現実の犯罪として起こりうる恐怖を描いた物語なのです。

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