ベツリオ・ゴンザレス

ベツリオ・ゴンザレス：フライ級の歴史を彩ったベネズエラの英雄

南米ベネズエラ、スリア州マラカイボに1949年10月24日、ベツリオ・ゴンザレスは生を受けました。軽量級であるフライ級で世界的な名声を確立し、WBC世界フライ級王座を二度、WBA世界フライ級王座を一度獲得するなど、長きにわたり世界の頂点で活躍した伝説的なプロボクサーです。そのキャリアは、数々の激戦とタイトル争い、そして日本人選手との多くのドラマによって彩られています。

1968年4月24日にプロデビューを果たしたゴンザレスは、母国ベネズエラで経験を積み、1969年10月10日にはプロ14戦目にしてベネズエラ国内のフライ級王座を獲得。国内トップ選手としての地位を確立し、世界の舞台へと挑戦を開始しました。

世界タイトル初挑戦は1971年4月1日。当時のWBA世界フライ級王者、日本の大場政夫選手との対戦でした。タフな戦いの末、15回判定で惜敗し、世界王座獲得はなりませんでした。しかし、この経験が彼を更なる高みへと導くことになります。

同年11月20日、ゴンザレスはWBC世界フライ級王者エルビト・サラバリアに挑みます。15回フルラウンドを戦い抜き判定はドローでしたが、サラバリアのドーピング違反により王座は空位に。そして1972年6月3日、空位となったWBC王座決定戦でソクラテス・ベトトを4回KOで破り、念願の世界王座（WBC第一期）を獲得しました。しかし、続く初防衛戦（1972年9月29日、対ベニス・ボーコーソー戦）で10回TKO負けを喫し、王座から陥落します。

王座を失ったゴンザレスでしたが、不屈の精神で再び頂点を目指します。1973年8月4日、再び空位となったWBC王座決定戦で後のライバル、ミゲル・カントと対戦。15回判定勝ちを収め、見事WBC世界フライ級王座（第二期）に返り咲きました。この第二期政権下では二度の防衛に成功。特に日本の小熊正二選手とは、ノンタイトル戦（1974年5月19日）での勝利を経て、三度目の防衛戦（1974年10月1日）で再び対戦しましたが、この時は15回判定負けを喫し、王座を失いました。WBC王座を巡っては、カント選手とも二度（1975年、1976年）にわたり再戦しましたが、いずれも判定負けに終わり、WBC王座への再々獲得は果たせませんでした。

WBCでの激しいタイトル戦線を戦い抜いた後、ゴンザレスはWBA世界フライ級王座に目標を移します。1978年8月12日、当時のWBA王者グティ・エスパダスに挑戦。15回に及ぶ激戦を制し、判定勝ちで自身三度目となる世界王座（WBA世界フライ級王座）を獲得しました。WBA王者としては三度の防衛に成功。特に日本の大熊正二選手とは、防衛戦で二度（1979年1月29日に判定ドローでの防衛、同年7月6日に12回KO勝利での防衛）対戦し、熱戦を繰り広げました。しかし、1979年11月17日に行われた四度目の防衛戦でルイス・イバラに判定負けを喫し、WBA王座からも陥落しました。

キャリアの晩年に入っても、ゴンザレスは世界王座への執念を燃やし続け、WBA世界フライ級王者に二度挑戦。1981年にはファン・エレラに、1982年にはサントス・ラシアルに挑みましたが、いずれも敗れ、再び世界のベルトを巻くことは叶いませんでした。

度重なる世界戦とタイトル争い、そして日本人選手を含む多くの強豪との戦いを経験したベツリオ・ゴンザレスは、1988年10月28日の試合を最後にリングを降りました。WBC、WBAの二つの主要団体で世界王座を獲得し、それぞれのタイトルを複数回獲得・防衛したその実績は、軽量級における彼の偉大さを示しています。ベネズエラのボクシング史に名を刻む、まさにフライ級の伝説として、その功績は今も称えられています。

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