ベトナムワイン

ベトナムワイン：熱帯のテロワールから生まれる独自の味わい

ベトナムワインとは、ベトナム国内で生産されるワインの総称です。その歴史は、19世紀後半のフランス領インドシナ時代に遡ります。

歴史と発展

フランス植民地時代、本国で愛飲されていたヨーロッパブドウの栽培が試みられました。しかし、ベトナムの熱帯気候はヨーロッパブドウの栽培には適さず、当初はフルーツワインの製造が主流となりました。20世紀後半に入ると、オーストラリアなどのワインメーカーの協力により、ヨーロッパブドウの栽培に再び焦点が当てられるようになります。

1995年には、オーストラリアのワインメーカーとの合弁事業が開始され、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネといった国際的なブドウ品種が導入されました。ベトナム戦争の終結後、地雷が残された地域でのブドウ栽培は困難を極めましたが、近年では地雷除去が進み、新たなワイン農園が誕生しています。

ブドウ栽培と地理

ベトナムは熱帯気候に属していますが、丘陵地が多いため、ブドウ栽培に適した地域も存在します。特に、アンナン山脈付近の中央高原地帯や、ニントゥアン省のファンラン＝タップチャム市付近の南部海岸平野が主な産地です。ニントゥアン省には、ベトナム初の商業ワイナリーであるティエンタイ・ワイナリーがあります。また、避暑地として知られるラムドン省のダラットもワイン生産地として有名です。

ベトナムのブドウ栽培では、大胆な剪定と格子状のパーゴラを用いる独特の手法が用いられています。このパーゴラは、ブドウのつるを地面から離して湿度による病害を防ぎ、風通しを良くする効果があります。しかし、葉が茂りすぎて日照が遮られることもあり、収穫量の減少につながるという課題も抱えています。

ブドウ品種とワイン

2005年時点では、カーディナル種とシャンブルサン種が主な栽培品種でしたが、近年では国際的なブドウ品種の栽培も増えています。ワイン生産の中心は依然としてフルーツワインですが、イギリスやオーストラリアの企業がスパークリングワインの生産に取り組むなど、新たな動きも見られます。

ベトナムワインの未来

ベトナムワインは、熱帯気候という制約の中で独自の発展を遂げてきました。国際的なブドウ品種の導入や新たな栽培技術の導入により、その品質は向上しつつあります。地雷除去が進む地域での新たなワイン農園の誕生も、ベトナムワインの未来に明るい兆しをもたらしています。

関連項目

ベトナム料理
ヴァン・ダラット：ダラットで生産されるワイン

もう一度検索