ファンラン＝タップチャム

ファンラン＝タップチャム：歴史と文化が息づくベトナムの都市

ファンラン＝タップチャム（ベトナム語：Thành phố Phan Rang - Tháp Chàm）は、ベトナムの南中部に位置するニントゥアン省の省都です。古くは「パーンドゥランガ」と呼ばれ、チャム王国の歴史と文化が深く根付いた地域として知られています。人口は約16万人（2004年時点）であり、その歴史的背景から多くの観光客が訪れます。

歴史

ファンラン＝タップチャムは、15世紀から19世紀にかけて存在したチャンパ王国の首都として栄えました。1485年から1832年まで、この地域は政治と文化の中心地であり、多くの遺跡がその歴史を物語っています。1917年には、啓定帝によってファンラン町が設置され、ニントゥアン省の省都となりました。

第二次世界大戦中には、日本軍によって航空基地が建設され、戦後にはフランス軍がこの基地を利用しました。さらに、ベトナム戦争中にはアメリカ空軍の重要な基地として機能しました。この基地は、この地域の戦略的重要性を物語る証拠です。

1976年、ニントゥアン省はビントゥアン省と合併し、トゥアンハイ省となりました。この合併により、ファンランは省都としての役割を一時的に終えることになりました。しかし、その歴史的・文化的価値は今もなお色褪せていません。

行政区画

ファンラン＝タップチャムは、15の坊と1つの社から構成されています。これらの行政区画は、都市の発展と住民の生活を支える重要な役割を果たしています。

バオアン坊（Bảo An / 保安）
ダイソン坊（Đài Sơn / 台山）
ダオロン坊（Đạo Long / 道隆）
ドーヴィン坊（Đô Vinh / 都榮）
ドンハイ坊（Đông Hải / 東海）
キンズィン坊（Kinh Dinh / 經營）
ミービン坊（Mĩ Bình / 美平）
ミードン坊（Mĩ Đông / 美東）
ミーハイ坊（Mĩ Hải / 美海）
ミーフオン坊（Mĩ Hương / 美香）
フーハ坊（Phủ Hà / 府河）
フオックミー坊（Phước Mĩ / 福美）
タンタイ坊（Tấn Tài / 進財）
タインソン坊（Thanh Sơn / 淸山）
ヴァンハイ坊（Văn Hải / 文海）
タインハイ社（Thành Hải / 成海）

チャム文化

タップチャム地区とファンラン地区は、チャム文化の中心地として知られています。この地域は、米、葡萄、桃、山羊、ブラフマン牛などの豊かな農産物に恵まれ、チャム族の人々が生活を営んできました。チャム族の歴史は、ミーソン聖域やニャチャンに見られる美しい塔によって象徴されています。

特に、タップチャム駅の西2kmにあるポ・クロン・ガライ王に捧げられた塔や、南西20kmに位置するポ・レ・ド王に捧げられた塔は、チャム文化の重要な遺跡です。これらの塔は、10月に行われるチャムの祭「カテ」で重要な役割を果たし、この祭では家畜の生贄が捧げられます。また、雨乞いの祭であるラマダーンでは、結婚式や他のお祝いも行われ、イスラム教の要素がチャム文化に融合した独特の習慣が見られます。

チャム族はアニミズムを信仰し、塔には火の絵が描かれているのが特徴です。塔は、赤レンガや乾いた石、モルタルを用いて建てられ、精巧なレンガ積みの技術が用いられています。ポ・クロン・ガライ遺跡にはチャム文化複合施設があり、写真や絵画を通じてチャムの歴史と文化を学ぶことができます。

交通

ファンラン＝タップチャムには、ベトナムの主要な鉄道である統一線のタップチャム駅があります。この駅には特急列車も停車し、ベトナム各地へのアクセスが可能です。

かつてはファンランとダラットを結ぶラック式鉄道も存在しましたが、ベトナム戦争中に廃止されました。しかし、現在、この路線の復活計画が進められており、客車と貨物の両方での利用が検討されています。


ファンラン＝タップチャムは、豊かな歴史と独特な文化を持つ魅力的な都市です。訪れる人々は、古代の遺跡や活気ある市場、そしてチャム族の伝統に触れ、この地域の歴史と文化の深さを感じることができるでしょう。

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