ベトナム史略

ベトナム史略

「ベトナム史略」（Việt Nam sử lược）は、1919年にチャン・チョン・キムによって書かれた歴史書であり、ベトナムの歴史を通じて体系的にまとめた初の作品とされています。この著作は、特に仏領期以前の歴史に焦点を当てており、クオックグー（国語）で書かれていることが特徴です。

概要と評価

本書はその内容の簡潔さと要点を押さえた記述が高く評価されており、歴史を学ぶ上で非常に読みやすい形となっています。1920年に初版が発刊されて以来、何度も改版が重ねられ、特に南ベトナムにおいては多くの学生に影響を与えた教科書としても使用されてきました。

章立てと構成

「ベトナム史略」は、ベトナムの歴史を以下の5つの段階に区切って詳述しています。

1. 上古時代：この時代は鴻龐氏から始まり、南越の滅亡までをカバーしています。ベトナムの初期文明や民族の動態についての基礎的な知識が紹介されています。

2. 北属期：南越が滅亡してから呉朝の成立に至るまでの出来事を扱っています。この時期は、ベトナムが他国の支配下に置かれる重要な過程です。

3. 自主時代：呉、丁、前黎、李、陳の各王朝から後黎朝（前期黎朝）までを含んでおり、ベトナムの自主性を取り戻そうとする各王朝の興亡について説明しています。

4. 南北分争期：莫朝から西山朝にかけての時代であり、一国の中での権力闘争が激化した時代です。この期間の動乱とそれに伴う社会変動が詳細に描かれています。

5. 近現代：阮朝による統治からフランスの植民地化に至るまでを扱い、近代国家を形成する過程での影響や変化について深く掘り下げています。

続巻の計画

チャン・チョン・キムは、本書の後に続く時代についての続編を執筆する予定だったと伝えられています。これにより、さらに詳細な時代考察を行う意向があったと考えられます。

結論

「ベトナム史略」は、ベトナムの歴史を知るための重要な資料として位置付けられています。歴史の流れを理解しやすい形式で提供することで、一般読者や学生に対しても広い知識を得る機会を与えています。この著作は、ベトナムの歴史に関心のある人々にとって貴重な情報源となるでしょう。

詳しい情報や異なる視点からの解釈は、後代の出版物や資料に依存していますが、本書の影響力は今日においても続いています。

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