ベネラ14号

ベネラ14号：金星の謎に迫ったソ連の探査機

1981年、ソビエト連邦は金星探査機ベネラ14号を打ち上げました。これは、わずか4日前に打ち上げられたベネラ13号とほぼ同じ構造を持つ探査機で、金星表面の調査を目的としていました。両探査機は、それぞれ760kgの軌道上乾質量を持ち、巡航モジュールと着陸モジュールから構成されていました。

設計と搭載機器

ベネラ14号の巡航モジュールは、金星への飛行中、ランダーからのデータ中継を行い、その後は太陽周回軌道に入りました。搭載機器は、ガンマ線分光計、紫外線単色光分光計、電子・光子分光計、ガンマ線バースト検出器、太陽風プラズマ検出器、2周波数通信装置など、多岐にわたります。

一方、着陸モジュールは加圧された密閉容器で、様々な観測機器や電子装置を搭載していました。ベネラ9号から12号で実績のある設計をベースに改良が加えられ、化学的性質や同位体測定、散乱日光スペクトルのモニタリング、降下中の放電記録などが可能でした。さらに、カメラシステム、X線蛍光分光計、スクリュードリル、地表サンプラー、透過度計、地震計といった機器も搭載し、詳細な調査を目指しました。

具体的な搭載機器としては、加速度計・衝突分析器（Bison-M）、温度計・気圧計（ITD）、分光計・指向性光度計（IOAV-2）、紫外線高度計、質量分析器（MKh-6411）、透過度計・土壌抵抗計（PrOP-V）、酸化還元指示器（Kontrast）、2色遠隔カメラ（TFZL-077）、ガスクロマトグラフィー（Sigma-2）、無線・マイクロフォン・地震計（Groza-2）、比濁計（MNV-78-2）、比重計（VM-3R）、X線蛍光分光計（エアロゾル）（BDRA-1V）、X線蛍光分光計（土壌）（Arakhis-2）、土壌ドリル装置（GZU VB-02）、安定発信器・ドップラー無線機、小型太陽電池（MSB）などがあります。

金星への着陸と探査活動

打ち上げから約4ヶ月後、ベネラ14号のランダーは巡航モジュールから分離し、1982年3月5日に金星の大気圏に突入しました。高度約50kmでパラシュートが開き、空力ブレーキシステムで減速しながら着陸しました。着陸地点は、ベネラ13号の着陸地点から約950km南西に離れたフェーベ地域と呼ばれる玄武岩平原の東側付近（南緯13.25°東経310°）でした。

着陸後、ランダーは地表の写真撮影や土壌圧縮率測定を開始しました。しかし、水晶製カメラのレンズキャップが着陸時に外れ、ランダーのすぐそばに落下したため、当初の予定とは異なり、レンズキャップの圧縮率を測定することになりました。それでも、X線蛍光分光計による土壌サンプル分析から、その組成がソレアイト質玄武岩に似ていることが分かりました。

ベネラ14号のランダーは、設計寿命32分を大きく超える57分間、気温465℃、気圧9.5MPa（地球の約94倍）という極めて過酷な環境下で稼働し続け、その間、巡航モジュールを経由してデータを送信し続けました。

まとめ

ベネラ14号は、過酷な環境下での運用にもかかわらず、金星表面の貴重な情報を地球に送り返しました。その成果は、金星の地質や大気に関する理解を深める上で大きな役割を果たしました。ベネラ13号と14号の探査活動は、ソ連の惑星探査技術の高さを示すとともに、後の金星探査計画の礎となりました。これらの探査機から得られたデータは、現在も科学研究に活用され続けており、金星の謎解明に貢献しています。

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