ベラヴィア

ベラヴィア航空：ベラルーシを繋ぐ翼の歴史と現状

ベラヴィア航空（Belavia Belarusian Airlines）は、ベラルーシ共和国の国立航空会社であり、同国のフラッグキャリアとして、ヨーロッパやCIS諸国を結ぶ重要な役割を担っています。ミンスク国際空港をハブ空港とし、国際線のみを運航しています。国内線は運航していません。

歴史：ソ連時代から現代まで

ベラヴィア航空の歴史は、1933年にミンスクにエアターミナルが建設され、モスクワとの航空路線が開設されたことに遡ります。前身となるベラルーシの民間航空グループは1940年に発足。その後、ツポレフTu-124、Tu-134、Tu-154といった旧ソ連製の旅客機を導入し、路線網を拡大していきました。1985年には、離陸前のエンジンの着氷除去の不備が原因でTu-134が墜落する事故が発生し、犠牲者が出ました。

1996年、アエロフロートのベラルーシ支局の国営化を受け、ベラルーシ政府の声明に基づき、ベラヴィア航空が正式に設立されました。1998年までに、北京、イスタンブール、ラルナカ、ロンドン、プラハ、ローマなどへの路線を開設。同年、ミンスカヴィアとの合併により、アントノフやヤコヴレフといった機種も運用に加わりました。

21世紀に入ると、パリ路線への就航（2001年）、英語、ロシア語、ベラルーシ語の機内誌「Horizons」の創刊（2003年）、ボーイング737の導入（2003年以降）など、近代化が進みました。2008年には、シャノン空港との路線を再開しました。現在、1000名以上の従業員を抱えるまでに成長しています。

しかし、2021年5月、ライアンエアー機の強制着陸事件を受け、EUはベラヴィア航空に対し、域内空港への着陸禁止、上空通過禁止といった制裁措置を決定しました。この事件は、ベラヴィア航空の運航に大きな影響を与えています。

保有機材：西側機材への転換と制裁の影響

ベラヴィア航空は、旧ソ連時代の旅客機から、リースを通じて西側製の旅客機への転換を進めてきました。しかし、EUの制裁により、一部機材の差し押さえが発生するなど、運用に困難が生じています。

就航都市：ミンスク中心の路線網

ベラヴィア航空の就航都市は、ミンスクを拠点として、ロシア、中央アジア、カフカース、西アジアなど多岐に渡ります。ただし、コロナ対策やEUの制裁の影響で、多くの路線が運休しているのが現状です。ホメリ～カリーニングラード線を除き、多くの路線はミンスク発着便となっています。

具体的には、ロシアの主要都市（モスクワ、サンクトペテルブルクなど）、中央アジア諸国（カザフスタン、ウズベキスタンなど）、カフカース諸国（グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンなど）、西アジア諸国（トルコ、イスラエルなど）への路線が展開されています。

事故と事件：2件の重大な事故

ベラヴィア航空の歴史においては、2件の重大な事故が記録されています。

2003年1月5日、プラハ行きのヤコヴレフYak-40型機のフロントガラスが粉砕する事故が発生しましたが、チェコ空軍の誘導により、無事着陸しました。
2008年2月14日、エレバン発ミンスク行きのベラヴィア1834便が離陸時に左翼が滑走路に接触、機体が転覆する事故が発生しました。乗員乗客全員が脱出に成功し、人的被害はありませんでした。事故原因は、主翼への着氷による揚力低下とされています。

結論：変化の時代に直面するベラヴィア航空

ベラヴィア航空は、ソ連時代の歴史から、西側への転換、そしてEUの制裁という困難な状況に直面しています。今後のベラヴィア航空の動向は、ベラルーシの政治経済情勢と深く結びついており、注目に値します。

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