ベル 429

ベル429ヘリコプター

ベル429は、アメリカのベル・ヘリコプターと韓国航空宇宙産業（KAI）が共同で開発した軽量双発ヘリコプターです。この機体は、以前のベル427を基にしており、主に航空救急（EMS）業界のニーズに応える形で設計されています。

開発の背景

ベル426は、初めての試作機が2007年2月27日に初飛行し、その後、2009年7月1日に量産機として型式証明を取得しました。この機体は、1名のパイロットによる計器飛行方式（IFR）での運用が可能です。ベル427は元々、この航空救急市場に向けて開発されましたが、キャビンサイズが狭く、計器飛行に必要なアビオニクスが不十分であったため、429の開発が必要とされました。2004年、ベル427s3iとしての原型が発表されましたが、顧客の要求に沿うものではありませんでした。

その後、開発はMAPL（Modular Affordable Product Line）という新しいコンセプトに基づいて進められ、完全に新しい機体構造と先進的なローターブレード設計が採用されました。エンジンとロータ駆動系はベル427から引き継ぎ、グラスコックピットを搭載した基本モデルに仕上げられました。開発の過程で、韓国航空宇宙産業（KAI）や、日本の三井物産エアロスペースとの提携も行われました。テスト飛行を経て、最終的に2009年に各国の認証を獲得し、受注も増加しました。

設計と技術

ベル429には、特に航空救急ニーズに応じた設計が施されています。メインローターは、ノイズ低減技術を備えた複合材の4枚ブレードで構成されています。テールローターもノイズ低減のために特別なデザインが採用されています。キャビンの総容積は204立方フィートで、乗客空間130立方フィート、荷物室74立方フィートを備えています。患者を運ぶためのフラットな客室床とクラムシェルドアが選択肢として設けられており、利便性が高まっています。

また、BasiX-Pro統合アビオニクスシステムにより、3軸自動操縦とフライトディレクター機能が搭載されており、計器飛行も対応可能です。機体は1名乗務での運航が可能で、標準ではスキッド式の着陸装置が装備されていますが、格納式ランディングギアの選択肢も存在し、その場合は巡航速度が向上します。

運用者

ベル429は、世界各国で幅広い運用者を持っています。日本では、長崎県警察航空隊や栃木県警察航空隊、中日本航空などが使用しています。オーストラリア海軍やカナダ沿岸警備隊もベル429を運用しており、特にカナダ沿岸警備隊は15機を発注しています。加えて、スロバキア内務省航空局、スウェーデン警察、トルコ警察、アメリカ合衆国の様々な機関も参加しています。

性能諸元

ベル429の基本的な性能は以下の通りです。

• - 乗員: 1名
• - 定員: 最大7名（乗員含む）
• - 全長: 12.7 m
• - 空虚重量: 1,925 kg
• - 最大離陸重量: 3,175 kg
• - 動力: プラット・アンド・ホイットニー・カナダ製PW207D1エンジン × 2基

性能

• - 最大巡航速度: 273 km/h
• - 航続距離: 722 km
• - 実用上昇限度: 6,096 m

ベル429はその先進的な設計と多用途性から、救急、警察、さらには軍事利用にも適した一機であり、運用者のニーズへ大いに応えています。

もう一度検索