ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア

ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノア（英: Belgian Malinois）は、ベルギーが原産の犬種で、主に牧羊を目的に開発されました。この犬種は、ベルジアン・シェパード・ドッグの中でも特に実用性に特化しており、世間では「マリノア」と略されて知られています。

歴史

マリノアは、かつてはベルジアン・シェパード・ドッグ・タービュレン、グローネンダール、ラケノアと同一視されていましたが、19世紀になると牧羊業が機械化され、これらの犬種は絶滅の危機に直面しました。このため、ベルギー国内での犬種の保護プロジェクトが発足し、各地域の生存状況が調査され、4つの異なるタイプが正式に認識されることになりました。

その後、各犬種クラブが設立され、特定の特徴を持つ犬種としてブリーディングが進められることとなりました。マリノアは主にメッヘレンという町に由来し、牧羊犬として羊を誘導することに特化した犬種です。

現在では、警察犬、麻薬探知犬、及び国境警備犬としても広く活躍しています。特にベルギー、イギリス、アメリカでは、警察業務で多く使用されており実用犬として高い評価を得ています。また、日本では、ペットやショードッグとして頑張っているものの、その数は非常に少なく、年々登録件数は限られています。

2019年10月には、アメリカ軍の軍犬「コナン」がISILの指導者を追い詰める作戦に参加し、負傷した際にはドナルド・トランプ大統領から英雄として称賛されるなど、国際的にも注目を浴びました。

特徴

マリノアは、ベルジアン・シェパード・ドッグの中で唯一、ショートコートの犬種です。毛色はフォーンで、特徴的なブラックマスクを持ち、体格は筋肉質で引き締まっています。体高は56～66cm、体重は27.5～28.5kgと、比較的大型の犬に該当します。性格的には、家族に対しては非常に忠実で優しいですが、警戒心が強い一面も持っています。

また、友好的な性格を引き出すためには、仔犬のうちから積極的に人や他の犬との接触が必要です。グローネンダールやタービュレン、ラケノアと比べて、屋外での飼育に適した犬種であり、運動量も豊富です。しつけに関しては、飲み込みが良く、高い身体能力と状況判断力を持つため、トレーニングも容易です。

ただし、股関節形成不全やアレルギーといった病気には弱い傾向がありますので、飼い主は健康管理にも注意が必要です。良好な環境で育てられたマリノアは、その高い能力を家庭でも発揮し、愛情深いパートナーとなるでしょう。

参考文献

• - 『犬のカタログ2004』（学研）監督・写真: 中島眞理
• - 『日本と世界の愛犬図鑑2007』（辰巳出版）監修: 佐草一優
• - 『デズモンド・モリスの犬種事典』著: デズモンド・モリス、訳: 福山英也、大木卓
• - 『日本と世界の愛犬図鑑2009』（辰巳出版）編・著: 藤原尚太郎

関連項目

• - 犬の品種一覧
• - ショートヘアード・ダッチ・シェパード
• - ブラック・マウス・カー

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