警備犬

警備犬とは

警備犬とは、日本の警察や自衛隊において、特定の任務を遂行するために訓練された犬のことです。警察犬とは異なり、爆発物の捜索、テロリストの制圧、災害救助など、より広範な任務に対応できるよう訓練されています。自衛隊では、基地警備や爆発物探知に加え、災害派遣時の救助活動にも従事しています。

警察の警備犬

警察では、犯人の追跡を行う警察犬とは別に、警備犬が導入されています。警備犬の主な任務は、爆発物の捜索、テロリストの制圧、災害時の救助活動です。2022年の安倍晋三銃撃事件を受け、警察庁は警護現場での警備犬の積極的な活用を指示しました。これにより、手製銃や手製爆弾を所持したローンオフェンダーの発見に努めています。

警備犬部隊は、全国の都道府県警察には配備されておらず、警視庁と千葉県警察のみに存在します。警視庁では警備部警備第二課警備装備第三係、千葉県警察では警備部成田国際空港警備隊警備室警備第二課に所属しています。

警備犬は、ハーネスや鈴を付け替えることで、1頭で複数の任務に対応できる能力を持っています。例えば、爆発物探知犬として爆発物を捜索したり、災害救助犬として被災者を捜索したりすることが可能です。警備犬が導入されていない道府県警察では、警察犬を警備犬として運用するケースもあります。

警視庁の警備犬部隊は、国内外の災害現場に救助犬として派遣されており、新潟県中越地震や四川大地震などでの実績があります。中越地震では、警備犬「レスター号」が投入されました。

千葉県警察の警備犬部隊は、成田国際空港での不審物発見時の爆発物捜索を主な任務としています。

自衛隊の警備犬

自衛隊では、人員捜索のほか、IED（即席爆発装置）などの爆発物探知、基地警備などに警備犬が活用されています。特に爆発物探知においては、プラスチック[[爆薬]]の主成分であるRDXや、硝酸アンモニウム、TNTなどの爆薬原料の臭いに反応するよう訓練されています。これにより、自爆を企てる車両や設置されたIEDなどを発見できます。

自衛隊の警備犬の名前は、SNSなどで一般公募されることもあります。航空自衛隊では1961年から「歩哨犬」として導入されていましたが、2013年に「警備犬」に改称されました。入間基地で一括調達された犬は、民間訓練士の元で基本的な訓練を受けた後、全国の基地に配備されます。犬種としては、ジャーマンシェパード、ベルジャンマリノア、ラブラドルレトリバーが採用されています。警備犬とハンドラーは固定ペアで「チーム」と呼ばれ、空自内部の資格試験に合格すると任務に就けます。現役でいられるのは8～9歳までで、引退後も部隊で面倒を見られ、亡くなると各基地の納骨堂に納められます。

海上[[自衛隊]]では、当初から軍用犬を「警備犬」と呼称しています。犬種はジャーマンシェパードとラブラドルレトリバーが指定されており、陸警隊や航空基地、送信所などで運用されています。運用頭数は公表されていませんが、2桁台後半とみられています。空自と同様に、現役は8～9歳までで、引退後も部隊で面倒を見られ、亡くなると各基地で慰霊祭の後、火葬されます。

近年では、自衛隊の災害派遣において、生存者の捜索など災害救助犬としても活躍しています。東日本大震災をはじめ、西日本豪雨、北海道胆振東部地震、台風19号災害、熱海土砂災害、令和6年能登半島地震など、数々の災害現場で救助活動を行っています。熱海土砂災害では、防衛相から褒賞状が授与され、空自のアイオス号、ロック号など、海自の那智号などが受賞しました。

警備犬を運搬するためには、「警備犬輸送車」も配備されています。

警備犬の活動

警備犬は、テロ対策、爆発物探知、災害救助など、多岐にわたる任務を遂行します。その高い嗅覚と身体能力を活かし、人間の目では発見が難しい危険物や被災者の発見に貢献しています。また、訓練された警備犬は、テロリストの制圧や不審者の警戒など、警備活動においても重要な役割を果たしています。

関連情報

警察犬
軍用犬
災害救助犬
身体障害者補助犬
使役犬
DOG×POLICE 純白の絆 (2011年の日本映画。警備犬を題材とした作品)

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