ベルズ公国

ベルズ公国は、12世紀から15世紀にかけて、現在のウクライナ、ヴォルィーニ地方に位置していた中世ルーシの分領公国です。その名は、首都であったベルズという都市に由来します。この公国は、ルーシ諸公国の中でも西部に位置し、ブク川流域をその領土としていました。

歴史

ベルズ公国の歴史は、1170年頃にヴォルィーニ公国から分立したことから始まります。初代公となったのは、キエフ大公ムスチスラフ2世の子であるフセヴォロドでした。成立後、ベルズ公国はヴォルィーニ公国、そしてガーリチ・ヴォルィーニ公国という、より強大な公国に従属する時代が長く続きました。これらの公国との関係は、ベルズ公国の命運を大きく左右しました。

13世紀には、モンゴル帝国のルーシ侵攻という未曽有の危機に見舞われます。1240年、ベルズ公国はモンゴル軍によって徹底的に破壊され、その勢力は大きく衰退しました。その後、公国は再建されるものの、以前のような独立性を保つことは困難でした。

14世紀に入ると、ベルズ公国はリトアニア大公国の影響下に入ります。1340年から1377年までの間、ベルズ公国はリトアニア大公国の一部として組み込まれました。その後、1388年からはマゾフシェ公国の支配を受けます。このように、ベルズ公国は周辺の有力な国家の勢力争いに巻き込まれ、その支配下を転々とすることになります。

そして、1462年、ベルズ公国はポーランド王国に併合され、その歴史に終止符を打ちました。その後、1772年の第一次ポーランド分割まで、ベルズはポーランド王国の一部として存続しました。

ベルズ公国の歴史は、周辺大国の影響を受けながらも、その地で独自の文化を育んだ人々の歴史でもあります。短いながらも独立した公国としての時代、そして異民族の支配下での苦難の時代を経て、ベルズの地は現在のウクライナへと繋がっています。

参考文献

Гайдай Л. Історія України в особах, термінах, назвах і поняттях. — Луцьк: Вежа, 2000.
Радянська енциклопедія історії України. — К., 1969. — т. 1.

関連項目

* ベルズ公

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