ヴォルィーニ

ヴォルィーニの歴史と地理

ヴォルィーニ（ウクライナ語: Волинь）は、西ウクライナの歴史的地域であり、プリピャチ川とブーフ川の間に広がっています。北にはポリーシャ、南にはガリツィア・ポジーリャと接しており、現在はウクライナのヴォルィーニ州とリウネ州、さらにジトーミル州の西部、テルノーピリ州とフメリニツキー州の北部を含む地域となっています。また、時にはベラルーシのブレスト州南部やポーランドのルブリン県西部がこの地に含まれることもあります。

歴史的背景

ヴォルィーニの歴史は古く、2世紀から3世紀にはゴート族が地域を支配していました。5世紀になると、スラヴ人がこの地に登場し、7世紀から9世紀にかけて東スラヴ人に属するヴォルィニャーヌィ族やドゥリーブィ族、グジャーヌィ族が定住しました。この時期には、ヴォルィニャーヌィ族の中央都市が設立され、特に10世紀にはキエフ・ルーシの領土に組み込まれました。

11世紀末には、ヴォルィーニ公国が成立し、その後ロマン・ムスティスラーヴィチが公国の君主となります。1199年にはハールィチ公国を併合し、ハールィチ・ヴォルィーニ大公国を創設しましたが、1241年にはモンゴル軍により大きな打撃を受け、その後はジョーチ・ウルスの属国となりました。次第に中心地はルーツィクに移り、1349年にはリトアニア大公国の一部となりました。

文化と政治的な重要性

14世紀から15世紀にかけて、ヴォルィーニはルーシ人の文化的および政治的な中心地としての役割を果たしました。オストログスキ家やヴィシュネヴェーツィクィイ家などの貴族が活躍し、地域は大いに繁栄します。1569年のルブリン合同によってポーランド・リトアニア共和国が成立し、ヴォルィーニもポーランド王冠領に組み入れられました。これに伴い、ヴォルィーニ県が設立され、県庁はルーツィクに置かれました。

1648年から1657年にかけてのフメリニツキーの乱では、ウクライナ・コサック、ポーランド軍、モスクワ大公国軍の攻撃を受け、略奪されました。17世紀後半から18世紀にかけては、地域が徐々に衰退していく時期でした。

19世紀からの変遷

1793年にはポーランド・リトアニア連合の分割により、ヴォルィーニはロシア帝国の領土となり、県名も何度か変更されました。19世紀にはロシアの支配下で発展が停滞し、未発展の地域とみなされました。1917年にはウクライナ人民共和国の領土となり、ヴォルィーニ州が設立されましたが、1920年には再びポーランドとソビエトに分割されました。1939年には独ソ不可侵条約による侵攻で地域をソビエトが再統合。ウクライナ・ソビエト社会主義共和国の一部となりました。

現代のヴォルィーニ

1991年にウクライナが独立を遂げたことで、ヴォルィーニ州とリウネ州が設立され、国としての地位を確立しました。歴史的な背景を持ちながら、現代のウクライナでも重要な地域であり続けています。

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