ベルテポルフィン

ベルテポルフィンについて

ベルテポルフィン（Verteporfin）は、ベンゾポルフィリン誘導体の一種であり、特定の条件下で活性化される光感受性物質です。主に、加齢黄斑変性症に伴う脈絡膜新生血管などの異常血管を除去する光線力学療法（PDT）において、光増感剤として使用されます。

作用機序

ベルテポルフィンは、静脈注射によって全身に投与された後、異常血管に選択的に蓄積する性質を持ちます。その後、特定の波長（689nm）の非熱的な赤色光を照射することで活性化されます。活性化されたベルテポルフィンは、周囲の酸素分子と反応し、一重項酸素などの反応性の高い活性酸素種を生成します。これらの活性酸素種は、血管内皮細胞に損傷を与え、血管を閉塞させることで、異常血管の成長を抑制します。

効能・効果

ベルテポルフィンは、以下の疾患に対する治療に用いられます。

中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症
（適応外使用）中心性漿液性脈絡網膜症

投与方法

ベルテポルフィンは、通常、レーザー照射の15分前に点滴静脈注射によって投与されます。投与量や照射条件は、患者の状態や疾患の種類によって異なります。

警告・禁忌

ベルテポルフィン投与後の患者は、48時間以内は皮膚や眼を直射日光や強い室内光に暴露しないように注意する必要があります。光照射によって、視力低下などの重篤な視覚障害が誘発される可能性があり、回復しない症例も報告されています。

また、以下の患者にはベルテポルフィンを投与できません。

ポルフィリン症の患者
眼底の観察が困難な患者

副作用

ベルテポルフィンの主な副作用として、以下のものが挙げられます。

眼障害: 重篤な視力低下、視覚異常（変視症、霧視など）、視野欠損、硝子体出血、網膜下出血、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、網膜色素上皮裂孔、網膜浮腫、黄斑浮腫など
全身性: アナフィラキシー、血管迷走神経反応、痙攣、脳梗塞、大動脈瘤、心筋梗塞、出血性胃潰瘍、全身性の疼痛など
注射部位: 疼痛、浮腫、炎症など

治療対象眼に見られた主な副作用は視覚障害（視覚異常、視力低下、視野欠損）（16.2％：この内、回復しない症例が58.2％））、眼痛（2.0％）等であり、全身性の主な副作用は背部痛（4.6％）、頭痛（4.4％）、悪心（2.1％）、無力症（1.7％）、光線過敏性反応（1.6％）等であった。また、注射部位の副作用は疼痛（5.7％）、浮腫（3.6％）、炎症（1.8％）等が認められた。

相互作用

ベルテポルフィンは、薬用ハーブのナツシロギク（フィーバーフュー）との間に相互作用が報告されています。ナツシロギクは、ベルテポルフィンの効果を減弱させる可能性があるため、併用は避けるべきです。

ベルテポルフィンは、シトクロムP450酵素によって代謝されないため、他の薬剤の代謝に影響を与える可能性は低いと考えられています。

その他

ベルテポルフィンは、創傷治癒における瘢痕除去効果も期待されており、研究が進められています。

参考資料

Visudyne (Novartis)

免責事項: この記事は、一般的な情報提供のみを目的としており、医学的なアドバイスとして解釈されるべきではありません。ベルテポルフィンに関する具体的な質問や懸念がある場合は、必ず医師または他の資格を持つ医療専門家にご相談ください。

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